著作権の国際ルール ー世界知的所有権の日

4月26日は「世界知的所有権の日 World Intellectual Property Day」だったらしい。日本では全く話題になっていなかったけれど、カナダの団体のFacebookのポストで知った。最近、このブログでもよく話題にしているカナダでメディアリテラシーを促進しているMediaSmartsのポストである。

World Intellectual Property Organizationのサイトから

知的所有権というと、私は著作権が一番最初に思い浮かんだ。カナダでの著作権の取り扱いについての資料を見ていて驚いた。カナダでは死後50年間保護される、とある。日本ではもっと長かったはず、と思い調べてみると、日本では70年だった。20年は結構大きな差だと思い、他の国はどうだろうかと調べてみると、国によってかなり差があることがわかった。

公益社団法人日本写真家協会のHPにはこのように書かれている。

日本と同じく死後70年を採用している国が一番多そうである。著作権をより長く行使したい場合には、メキシコが良いということか。70年以上は5ヵ国だが、中南米とその周辺に4ヵ国固まっているのは何か意味があるのだろうか。気になる。

海外のものを利用する時にはどうなるのだろうか。公益社団法人著作権情報センターに答えが載っていた。著作権の国際条約というものがあるらしい。

著作権に国境はありません

著作物は、国境を越えて利用されるため、世界各国は、条約を結んで、お互いに著作物や実演・レコード・放送などを保護し合っています。このような国際的な保護は、著作権は「ベルヌ条約」と「万国著作権条約」、著作隣接権は「実演家等保護条約」と「レコード保護条約」などによって行われています。我が国はいずれの条約にも加入しており、世界の大半の国と保護関係があります。

出典:公益社団法人著作権情報センターHP

「大半の国」ということは、どうやらすべての国と結んでいるわけではないらしい。ややこしい。

Q. 現在、我が国と著作権の条約関係のない国には、どんな国がありますか? また、それらの国の著作物を利用する場合はどんな注意が必要ですか?

A.エチオピアやイランなどとは条約関係がないので、これらの国の著作物を保護する義務はありません。ただし、これらの国の著作物でも、ほかの条約国又は我が国で最初に発行されていれば、保護義務が生じるので注意が必要です。

なお、従来まで条約関係がなかった国でも、TRIPS協定に加盟した国がいくつかあるため、これらの国の著作物については、我が国も保護義務があることに注意する必要があります。

出典:公益社団法人著作権情報センターHP

その他にも色いろな補足事項がHPに載っていて複雑であることがわかった。気になる方は出典をどうぞ。

MediaSmartsは著作権についての授業を行うことを推奨し、Tip Sheetを提供している。そこには音楽、映画とテレビ、パブリックドメイン、クリエイティブコモンズ、ユーザー作成コンテンツ、公正な取引、の項目がある。誰でもコンテンツ制作者になれ、コンテンツ使用者にもなれる現代において、義務教育で教える意味は大きい。

MediaSmartsのサイトには「調査によると、若者の4分の1が、何が合法で何が合法でないかが明確になれば、違法なコンテンツへのアクセスをやめると言っています」と書いてある。まず知ることが第一歩、ということだと思う。

とはいえ、カナダで生活する人は著作権をそれほど気にしていない印象がある。もしかしたらトロントの私の周りだけだったのかもしれないけれど、映画や音楽の違法ダウンロードは日常茶飯事だった。映画を違法ダウンロードできるサイトは英語のものももちろんあるが、ロシア系や中国系のサイトも多く、みんなそれを使っていた。そこでは日本の映画も違法ダウンロードでき、英語字幕もつけることができた。トロントは移民が多く、複数の言語を使える人が多いため、こうした違法サイトが広まりやすいのかもしれない。

違法サイトからのダウンロードは、製作者に申し訳ないのはもちろん、ウィルスの危険性もあるので私は使用したいとは思わないけれど、世界的にかなり深刻な問題だと思う。

世界にもっと知的所有権の考えが広まりますように。

 

※国際連合広報センターの「知的所有権」についての説明が分かりやすかったのでリンクを貼っておきます。(知的所有権

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