旅先では図書館巡りを欠かさない私。図書館というと「無料で本を貸してくれる場所」と考える人も多いけれど、それだけではないと思う。図書館を見れば、その国や地域の文化の成熟度がわかるような気がする。世界の図書館を巡っていると時にぼろぼろの湿度管理が全くされていない(紙にダメージを与える湿度の管理は図書館の基本の基本である)公共図書館や私設図書館に出くわすこともある。でも多くの場合、それは貧しい国だ。図書館に気を配ることができる国こそ、文化を保存し守る余裕のある国・地域と言えるような気がする。
ホワイトホースでは3つの図書館をまわってみた。
・Whitehorse Public Library
いわゆる公共図書館。新しい建物で室内は明るく気持ちがいい。決して広くはないけれど、児童書、文学書、実用書がバランスよく並んでいる印象を受ける。決して早いとは言えないけれど、無料のWi-Fiもある。
私が訪問した2月はバレンタインの影響なのか「Blind Date with a Book」というキャンペーンをやっていた。
棚には本の入った袋があり、それぞれにコメントが書いてある。
How-toによると…
1、本を選ぶ
2、カウンターで貸出手続きをする
3、家に持ち帰り袋をあける
4、感想をコメントカードに書く
5、コメントカードを提出(抽選で50ドルのギフトカードが当たる!)
6、本を返却する
7、リピートする
だそうで、蔵書が少ない中でいかに色いろな種類の本に興味を持ってもらうかが工夫されているような気がした。なかなか面白い。
地元の人がのんびりくつろぎながら本を読んでいて、地元の人から愛されている様子が見てとれて、居心地の良い空間だった。
・Yukon Energy, Mines & Resources Library
ダウンタウンの中心にあるカナダの行政サービスを受ける建物の3階の一画にあるちょっと特別な図書館。資料の中心は、1950年代以降の鉱物探査活動を記録した7500以上のレポート。金鉱山が発展のきっかけになったユーコン準州らしいコレクションである。電子データベースにはどこからでもアクセスできるが、ここでは実際に資料を手に取ることができる。どこまで電子データ化されているのかはわからないけれど、無雑作に古い写真がアルバムに収められていたりして、かなり驚く。この方面の研究者にとってはとても貴重な資料たちなのだと思う。
私は何も知らない素人なので、図書館というよりは、おばあちゃんの家にある古いアルバムを覗いているような気分だった。
・Yukon College Library
ユーコンカレッジ内にある大学図書館。建物自体は古いが、図書館は最近改装されたようで、すべてが新しい。ロッジ風の図書館は勉強スペースが多く、学生が熱心に勉強していた。蔵書はカレッジの図書館としてはかなり少ない印象なのが残念だったけど、最近はe-bookなども多いので、なんとかなっているのだと推測したい。室内は明るくて落ち着くいい感じの空間。
ホワイトホースの図書館は全体的に小規模だったけれど、管理が行き届いた気持ちのよい空間だった。ホワイトホースに住んだら、きっと通ってしまう気がする。