退職する時に思うこと

13ヶ月お世話になった会社を今日で退職した。仕事を探していた時にはこんなにすぐに自主退職するなんて思ってもいなかったけれど、これで良かったのだと思っているし、これで良かったのだとこれからも言っていられるようにしていきたい、と思う。

辞めることにした理由は複数あるけれど、一番は今後に向けて準備をする時が来た、と思ったからだった。

今の会社で約1年働いたことで永住権取得に大きく前進したし、二週間に一度振り込まれる安定した収入は金銭的にも精神的にも私を落ち着かせてくれた。私を雇ってくれた会社にはとても感謝している。

退職にあたって入社前にこの会社で働きながら学びたいと思っていたことについて、2つ書いておこうと思う。

1)世界中のオフィスとどのように連携して案件を処理するのか

私が働いていた会社は世界中に23ヶ所のオフィスがあり、トロントはその中の1つだった。私の部署で言うと、一番のボスはイギリスのロンドンオフィス、その次のボスはイタリアのローマオフィス、その次はアメリカのニューヨークオフィス、直接の上司はカナダのトロントオフィスで仕事をしていた。

会社全体でいうと、コスト削減のため多くの事務処理は人件費の安い東欧のルーマニアでされていた。それは業界の中ではかなり特殊で、うちの会社のようにしているところは他にはないのだという。そこでコスト競争力が生まれていたようだったので、入社前はなんて賢い会社なのだろうと思い、その仕事の回し方を知りたいと思っていたが、実際はそう甘くはなかった。

トロントにいながらルーマニアとアジア(インドネシアが多かった)の担当者と連絡と取って仕事を進めていくのは、システムなど助けになるものはあっても、なかなか厳しかった。時差がある上に、国によって仕事への向き合い方が違ったり、仕事が大雑把だったりしたのだ。緊急確認のために何度インドネシアの担当者を現地の夜中や明け方に電話で起こしたことか。(彼の仕事に問題があったので、私が後ろめたさを感じることもないのだが、電話する時には申し訳ない気持ちになった。)

そんな感じで仕事をするのでたまに揉めるのだが、直接顔を合わせたことがないので、みんなとてもドライだった。しかも連絡する時は大抵文句の電話だったりするのでなおさらだ。頻繁に連絡をとっていたり直接顔を合わせた人には言わないだろうな、というようなことを言われたりする。

最近ではネットに繋がれば世界中の人と一緒に働くことができる時代だけれど、やはり直接会ったり、日ごろから密にコミュニケーションを取ることはとても大事なことなのだと認識せざる負えなかった。相手の人間性を理解することで、仕事がスムーズにいくことを助けることがあるのだと思った。

2)トロントオフィスがどのように立ちあがるのか

私は組織作りや業務の効率化に興味があった。それは以前日本の会社でそのようなことをしていたからだ。トロントオフィスのオープンにあたって雇われたので、北米流の組織のあり方や作り方を学べるかな、と期待していたが甘かった。

インド系上司が驚くほど何もしないので、業務効率化についての改善は私が起点となってやった。私たちのチームは私の作ったワークフローにそって業務をすすめ、問題なくスムーズに自走するに至った。これは私の中で大きな自信になったし、日本の会社で得た知識や経験は北米で(少なくとも私の会社で)は役に立つものだということが証明されたと思った。

私たちのチームはカナダのトロント、アメリカのニューヨーク、ロスアンゼルスの3ヶ所で仕事をシェアしていたので難しいこともあったが、基本的な業務の効率化は変わらないのだということを再確認できた。国も違えば時差もある、そんな中で同じ北米チームとして仕事をしていくのは難しいながらも面白かった。

私が同じチームの人に退職することを伝えると、Mikiがいなくなったらチーム内の秩序が保たれなくなりそうで不安だ、と言われた。自分ではあまり意識していなかったけれど、組織の中で私はそのような役目を果たすことができていたのだと少し嬉しく思った。

毎日世界中のオフィスの人と接しながら仕事をすることで、世界がますます狭く感じられるようになった。世界中の人と仕事をするうえで、母語が何であっても全員英語でコミュニケーションを取る。このような環境にいると、やはり英語力は世界で働く上で必須なのだということ、英語ができるのは当然のことで、その他に何ができるのか、が大切なのだと思い知った。

英語でのコミュニケーションに難がある私は、コミュニケーションの部分ではぎりぎりのところで仕事をしていたので、しっかり英語力を伸ばしていく必要があるのだと毎日実感せずにはいられなかった。

さて、私の次のステップはぼんやりとあったりなかったりするのだけれど、トロントを拠点に活動していけたらいいなと思っている。仕事ではない小さな一歩だが、少し前から英語でもブログを始めた。日本語で書くより時間はかかるけれど、日本語と同じ速さで同じ品質のものを書けるようになることが今のところの目標だ。

明日からの新しい毎日が楽しみ。

最終出勤日は朝日がとても綺麗だった

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退職する時に思うこと” への3件のフィードバック

  1. ももえ のコメント:

    初めてコメントします。
    カナダ社会への就職を模索する中で、Blogを見つけ拝読しています。
    ネット上での話、実際に会って話せた就職活動を経験した日本人(移民)の方など、
    人によって仕事の状況は様々だと思いますが、
    他の記事に書かれていた、丁寧にカバーレターや履歴書を準備する、という姿勢に励まされ、自分の用意している物を見直しております。
    日々のことに流されそうになり、勿論日々のことも大事ですが、長期的な視野・大局をみることを忘れずに、自分の人生を作り上げたいな、と改めて記事から思いました。
    これからのご活躍も、画面の前で応援しています!

    • mikiando のコメント:

      ブログを見つけてくださって、コメントしていただいてありがとうございます。嬉しいです^^
      就活はエリア、応募時期、業界などにも左右されると思いますが、近いうちに良いご縁があるといいですね。
      履歴書は丁寧に書くことも大切ですが、これでもかというくらい自信満々に書くのがコツなので、恥ずかしがらずにアピールするのが良い気がします。ご存じかもしれませんが、参考になりそうなリンクを貼っておきますね。
      185 Powerful Action Verbs That Will Make Your Resume Awesome

      長期的な視点で人生を考えること、大切だと思います。
      お互いに楽しく実りあるカナダ生活を送っていきたいですね。

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