教育と政治と ネルソン・マンデラ

最後の方は続きが気になって、睡眠時間を削って読んだ。ネルソン・マンデラの自伝「自由への長い道」。読んでも読んでもKindleの%が進まなくて、最後まで読み終わらないのではないかと途中で心配してしまうほどだった。それもそのはず、紙の本では上巻431ページ、下巻463ページの超長編だった。

私は訪れる国の事前準備をすることにしている。その場所へ行ったときに、歴史や主だった出来事を知っていると、その土地をより楽しめるからだ。南アフリカ、と言えばネルソン・マンデラは外せない。そう思った私はほとんど予備知識もないまま、ネルソン・マンデラの自伝を読み始めたのだった。

正直、想像以上にとてもとてもよかった。そしてここに書かれていることがほんの数十年前に実際にあった出来事だなんて信じられなかったし、信じたくなかった。そして私はこんなにも世界のことを知らないで生きてきたのだ、と少し恥ずかしくなった。

ネルソン・マンデラは南アフリカの中でも珍しい黒人の弁護士であったが、国家反逆罪で終身刑を言い渡され、27年間も投獄された。その後釈放されてから1994年に全人種が参加できる選挙(白人にも黒人にも投票権がある)を実現させた人である。1993年にはノーベル平和賞も受賞している。

1994年は25年前だ。これには驚いた。もう私が生まれた後である。南アフリカの人種差別問題なんて遠い昔の出来事のような気になっていたけれど、実は最近まで存在していたということを知った。

私はこの自伝から、信念を持ち続けることの大切さはもちろん、教育の大切さと、政治は人々の生活を変える、ということについて改めて考えた。

ネルソン・マンデラはもともと賢かったのだろうが、それでも教育を受ける機会がなければ全南アフリカ人が参加する選挙の実施を達成することは難しかったのではないかと思う。白人に交じって教室でたった一人の黒人として法律の授業を受けるという恵まれた環境があり、そこで培われた知識と価値観が彼を偉業を成し遂げるのを助けたのだと思う。

そして政府。自分たちに都合の良い法律を作り、黒人差別を行ってきた。ネルソン・マンデラの働きかけや外国からの経済制裁などの圧力などもあって、最終的には黒人にも選挙権を認めるが、そこまでには長い道のりがあった。これはアドルフ・ヒトラーの自伝「我が闘争」を読んだ時にも同じ感想を持ったけれど、はやり政治は人々の生活に直接影響を及ぼすし、一度変わった体制や制度はなかなか元に戻したり変更することは難しいのだということを思った。

そんなことを実感することがあまりない私は、今まである程度政治が安定していて、政府が個人の利益ではなく公の利益について考え指揮を執ってきた、というある種の証明なのではないかと思った。それはとても喜ばしいことではあるが、一度権力が暴走し始めると、なかなか止めることが難しく、自分たち個人の生活にも影響するのだ、ということを常に覚えておく必要があるのだと改めて思い知ったのであった。

この本に出会えてよかった。ぜひおすすめしたい本である。

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