本場の蕎麦より本物の蕎麦 in Toronto

お気に入りのお蕎麦屋さん、Soba Canadaから、あと3回の営業が終わると6月末までお休みだと連絡をいただいた。私に訪問しないという選択肢はなかった。

店主はたまたま私のこのブログを見つけてコメントをしてくれ、営業日を教えてくれたので、予約の電話をする時に私だと気が付いてくれた。そして当日お店に行くと、サーバーさんも「あぁ、みきさんですね」と話が通っていたようで、なんだか嬉しいやら恥ずかしいやら。

今回は日本人のお姉さまと来店。蕎麦を食べている時に気が付いたのだが、このお姉さまも私のブログを見て連絡をくださり知り合った方だ。こんな個人のブログだけれど、様々なご縁を運んできてくれると思うと嬉しい。

前回のブログから少しメニューが変更になっていた。今回のメニューはこちら。

この他に日本酒など日本のお酒も楽しめます

冷掛けをオーダーしようとしたらすでに売り切れだというので、いつも通り天ざるを。

えび、アスパラガス、ズッキーニ、かぼちゃ、ししとう、たけのこ、茄子、ヤムいも、インゲン

安定の美味しさ。香り高い蕎麦にネギとピリリとしたわさびが良くマッチしている。天ぷらはもちろんサクサク。エビも新鮮なのでしっぽまで美味しくいただいた。

何度いただいても美味しい。

食事中と食後に店主の飯塚さんが席までやってきてくれ色いろな話をしてくれたが、このお店で提供される食事がなぜこんなにも美味しいのかがよく分かった。

店主は蕎麦への愛、食べ物への愛に溢れていた。そしてなんでも本気で取り組んでいるその姿は職人と形容するにふさわしい方だ。

そもそも飯塚さんは、駐在員としてトロントへ来てトロントを気に入り、日本へ帰還命令が出た時に会社を辞め、トロントに残ることを選んだのだという。大胆にも退職を伝えた時には退職後の仕事のことを何も決めていなかったらしい。よっぽどカナダが好きなのだろう。

もともとお蕎麦が好きでソバが採れるカナダで生蕎麦を食べてみたいとレストランを探したそうだが、生産地も含めどこにもなかった。そこでカナダで蕎麦を食べるには自分で作るしかないと思い、カナダでの定住手続きをするための一時帰国で、下町の蕎麦学校へ泊まり込みで修業し、道具をそろえてカナダへ戻ってきたそうだ。

その後始めた週に一度だけオープンする蕎麦屋を出して15年。最初こそ集客に苦労したそうだが、今では蕎麦が売り切れるほどの繁盛店だ。

店主の飯塚さん。蕎麦の提供後、カナダドライ片手に蕎麦を語る。

今まではカナダの質の高いマニトバ産のソバを主に使っていたそうだが、最近は北海道や東北などの寒さに強く味も良い品種を仕入れてマニトバで栽培し、カナダと日本のソバをブレンドして提供するようになってきたそう。今年も新しい種を仕込む予定らしく、来年くらいからまた違う味わいの蕎麦を提供できるはず、と嬉しそうに教えてくれた。

そんな蕎麦への強いこだわりを持つ店主は、日本へ一時帰国した時に蕎麦は食べないのだという。適当な仕事をしていて、怒りたくなってしまうから、と笑っていた。

手を抜いて仕事はできるし、お客さんは気が付かないかもしれない。でもそれでは自分をだますことになる。それは嫌なので、妥協せずに蕎麦を打つのだという。

蕎麦を提供した後には自分の蕎麦をどんな人がどんな表情で食べているのかを知るため、できる限りテーブルに行って話かけるようにしているとのこと。訪問の際は、ぜひ店主に直接こだわりの蕎麦について質問するのがお勧め。

お店のお客さんはカナダ人が圧倒的に多いそう。日本の美味しい蕎麦をカナダに住むさまざまな方に召し上がっていただけるのは、日本人としてもなんだかうれしい。

ビジネスカードの裏には「anything relating to SOBA」の文字。店主なら本当に蕎麦のことなら何でもできそうな気がした。

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