にわとり疑似体験

カナダのスーパーには様ざまな種類のにわとりの卵が売られている。何の表示もないもの、特定の栄養価が高くなっているもの、フリーラン(ケージに入れずに育てられた)のもの、フリーランでオーガニックの餌で育てられたもの…などなど。言うまでもなく、フリーランでオーガニックの餌で育てられた卵が一番高価だ。

日本で私が一人暮らしをしていた時の近所のスーパーには、売り場面積が狭かったこともあってか、卵の種類が少なかった。だから選択肢がほとんどなく、フリーランの卵は売っていなかったと記憶している。だから卵の品質についてあまり考えたことがなかったけれど、カナダで比較して購入できるようになってから、購入のたびにどれを購入すべきか考えるようになった。今のところ、値下げ状況や私の経済状況によって私が購入する卵はフリーランになったり、そうでなくなったり、ごくごくたまにフリーランでオーガニックの餌で育てられたものになったりしている。正直、味の違いはわからないが、フリーランのオーガニックの卵を食べている時はなんだか気分が良い。

一番頻繁に買うたまご。wholefoodsでよく割引になる。

そんなカナダでの買い物を経験している私は、飛行機に乗る度に、ケージに入れられた動けないにわとりの気持ちを疑似体験している気分になる。私は飛行機のシートにじっと座っていることがとても苦痛に感じてしまうのだ。ビジネスクラスにでも乗れば良いのかもしれないが、そんな余裕は今の私にはない。トロントから羽田までの13時間半に耐えられないので、時間に余裕がある時にはどこかで乗り継ぎを挟むようにしている。そうすると5時間とか8時間くらいのフライトになるのだが、それでもまだつらい。フライト中には動けないことはもちろん、決められた時間に決められた食事しか取れない。いつも苦痛に耐えながら思うのだ。あぁケージに入れられたにわとりはきっとこんな環境で一生を終えるのだな、と。動ける身体があるのに動けない、食べられるものは目の前に出された餌だけ。きっとにわとりはとてもストレスを感じているに違いない。ストレスのかかったにわとりから健康的な卵は生まれるはずがない。とすると、私はフリーランの卵を買うべきだし、買うことでフリーランの卵を生産する酪農家に売上という点で貢献するべきではないのだろうか、と。

カナダのスーパーには日本に比べて様ざまな選択肢が存在する。卵の他にも牛乳(オーガニックの餌を食べているかどうか、乳脂肪のパーセンテージ(3%、2%、1%など)しかり、選択肢が多数用意されているので、自分の価値観に沿って選択することができるし、違いを知ることができる。違いがあることで、従来の生産方法を疑うこともできる。つまり、選択肢があるということは消費者、生産者双方にとってとても有意義なことなのだと思う。

今日はスーパーでフリーランの卵を購入してきた。この卵が少しでも私の健康とフリーランの卵を提供してくれている生産者に寄与してくれることを願う。

それと同時に来年の日本への一時帰国の航空券を、フランス パリでのトランジットに魅せられて、トロントから東回りで7時間半と11時間55分の乗り継ぎという長時間フライトのチケットを取ってしまったので、少し不安になっている。まぁなにはともあれ日本への一時帰国は楽しみなのだが。

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