もう今から働かなくていいよ―突然の解雇

もう今から働かなくていいよ、といきなり呼び出された会議室でマネージャーから突然の解雇通告をされるなんて、想像できるだろうか。それもその日の勤務時間を5時間も残して。

私が旅から戻ってきた次の日。久しぶりに出社した会社で、私の隣で働いていた同期入社の同僚が会社を解雇された。それは3 ヶ月の試用期間最終日のことだった。会議室から戻ってきた彼女は、黙々と自分の荷物をまとめて、言葉をほとんど発することもなく、私を含む同僚一人ひとりとハグをしてから会社を出て行った。何を言ったら良いのか全くわからなかった私は、ただ彼女をハグすることしかできなかった。

と、こんなことを書くと、なんて冷酷なカナダ社会なんだ、とか酷い会社なんだ、とか冷たいマネージャーなんだ、などと思うかもしれないけれど、控えめに言っても彼女は決して良い社員とは言えず、常にいかにサボるかを考えながら働いていた様子だったので、解雇は当然の結果だと社内の誰もが納得した。日本の会社で彼女のような人を探すのはかなり難しいだろうと思う。それほど凄まじいサボりっぷりだった。

試用期間中の即日解雇は雇用契約書にも書いてあるし法律でも認められているので、なんら問題はない。試用期間から本雇用に変わると即日解雇ができず面倒なことになるので、今のタイミングになったのだと思う。とは言っても、あまり即日解雇の例を私は聞いたことがなかったので、衝撃的な出来事だった。

少し裏話をすると、二週間くらい前から、マネージャーから彼女を解雇することを臭わせる発言が彼女のいない場所で度々あった。だから解雇される彼女以外の全員が彼女が解雇されることを知っていたのである。かといって彼女にそのことを話すこともできず、私たちは静観していた。

だが彼女にしてみたら突然の解雇である。彼女の様子から彼女は解雇されることを予想していなかったと思う。養う家族を持つ彼女は解雇通告をされて何を思ったのだろうか、想像に余りある。

この解雇通告劇が終わり、私を含む他の同期入社の同僚は本雇用になったわけだが、一人の同僚から意外な話を聞いた。なんでも自分も彼女と同じように解雇されるのではないかと怯えていたというのだ。少しおっちょこちょいだけど、とても真面目に働く彼女は、来月からの業務の割り当てが他の人より少ないことをシステム上で見つけてしまい、解雇されるに違いないと不安になっていたらしい。

全然何も気にせずに、色いろ調整したら5連休が取れた!と試用期間中なのにるんるん旅に出ていた私は、なんとお気楽だったのだろうか、と自分に自分で呆れた。そしてそのことを同僚に話したら苦笑いをされたのだった。

とこんな感じで本雇用になったわけだが、今までと変わらず私にできる会社への貢献をこれからも続けていくだけだ。それだけが私のできることだし、同僚と少しキャリアが違う私はそれが武器になると確信している。

さてさて明日からもがんばります。

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