日系人迫害の歴史―日系カナダ人作家Mark Sakamoto

北米の日系人の歴史について、私は無知だった。それは今までその話題に触れる機会がなかったからだ。でもそれは言い訳に過ぎない。

2年前の夏、アメリカLAの全米日系人博物館に行って初めて、第二次世界大戦前後にいかに日系人が差別され、過酷な状況に置かれていたのかを知った。夏の暑い日だったのにも関わらず、館内で鳥肌が引くことはなかった。

第二次世界大戦でカナダはアメリカ側だったので、カナダでもまた日系人差別が行われた。財産のすべてを没収され、キャンプと呼ばれる過酷な環境の強制収容所に入れられたのだ。キャンプはカナダの中でも辺鄙な場所に作られた。キャンプが廃止された後はその場所から移動した人もいるけれど、未だにキャンプのあった地域に住んでいる日系人もいると聞く。だから今でもとても辺鄙な田舎に住んでいる日系人がいたりするらしい。

と、こんなことを人から聞いたり、何となく自分で調べたりしたので、多少の知識を得ることはできていた。しかし現在のカナダでそれを実感することはなかった。だから私の中では昔むかしの過去の出来事のような気がしていた。

少し前に、マーク・サカモトさんという日系カナダ人の作家さんの講演を聞く機会があった。マークさんの著書、ForgivenessがCBCのベストセラーに選ばれたことに対するお祝いの会だった。マークさんは日本語を話せないようだし、日本人の面影はほとんどない。日系人だと言われなければ見た目からはわからないと思う。Forgivenessはマークさんの家族の物語で、日本兵の捕虜になったカナダ人のおじいさんと、カナダでキャンプ生活を強いられた日本人のおばあさんの話から始まる家族の物語である。著者を目の前にすると、今まで遠い世界での出来事のように感じられていたことが一気に身近に感じられた。

講演は教会で行われた

講演の聴衆の中にも実際にキャンプで過ごした方がいて、質疑応答の時間には自分の経験を共有したりしていて、驚くやら、今まで知らなかったことを日本人として申し訳なく思うやら、終始複雑な気分だった。

日本に生まれ日本で生活をしていると、海外で日本人がどのように扱われていたのかということを知る機会はほとんどないと思う。実際に私は知らなかったし、今でも北米以外の日系人についてはほとんど知らない。でも日本人として、世界でどのように扱われてきたのか、日系人が海外でどれだけがんばってきたのか、ということを知ることは、日本人として必要なことのように思う。

本を読むのもいいし、ネットで調べるのもいいが、カナダのトロントでは日系文化会館で、アメリカLAでは全米日系人博物館で展示と共に知ることができる。ぜひ多くの日本人に訪れてほしい場所だ。

今の日本人の世界での地位は私たちの祖先が努力の末、手に入れたものだということを忘れてはいけないと思うし、これからもその地位を守っていかなければいけないのだと思う。日本人として、祖先に恥じない海外在住日本人でいたい。

なんか北米でイメージされていそうな日本イメージのような表紙

サインもらって一緒に写真を撮ってもらいました

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