介護で世界をリードする

春に祖父が亡くなった。もう長いこと入院していたし、大往生と言えるような年齢だったので大きく驚くことはなかった。でももう会えないのかと思うとかなり寂しかった。私はトロントからオンラインで葬儀に少し顔を出して祖父の最後を見届けた。祖父の最期に立ち会ったような、立ち合っていないような少し中途半端なお別れだった。

祖父が亡くなっていなかったら、私は今回一時帰国していなかったかもしれない。一時帰国をする理由が特になかったからだ。今回の滞在では祖父のお墓参りに行くこと、3人の祖父母とお世話になった大叔母と一緒に時間を過ごすためだった。そこで私は日本のテクノロジーを目の当たりにした。

夫を亡くした祖母は、最近老人ホームに入居した。あまり老人ホームに良いイメージがなかった私だけど、祖母がとても穏やかに毎日楽しく生活していると聞いて、それならよかったのかなと思っていた。

訪問してみて驚いた。そこはカナダの私の家より豪華だった。しかも新築。リハビリスペースあり、定期的な美容師さんの訪問サービスあり、毎日行われる施設内イベントあり、もちろん洗濯サービスもあり、栄養のある季節を大事にした食事もおやつも出る。頑固な祖母が満足するのもわかる。

すべてが素晴らしいのだけど、一番驚いた設備はスマートベッドというものだった。なんでもセンサが睡眠時間や呼吸数、心拍数などを読み取り記憶、それを事務室で一元管理できるのだという。夜中に万が一のことがあってもすぐに発見し対応できるし、夜中の見回りをする必要がないので管理工数も削減できているらしかった。しかも各種データは日常のケアや診察に利用するだけでなく、定期的に家族に共有されるので、安心して施設にお願いできる。

高齢化率世界ナンバー1の日本は培った技術を今後海外輸出することが求められる、などと聞いた時にはなんだかあまりピンとこなかったのだけど、きっとこのようなことを言うのだなと思った。日本の技術力の高さに少し感激し、弱ってきている祖母だけど、快適なこの施設に住んでいれば、もっと長生きできるのではないかと少し期待している。

※スマートベッドはマットレスとフレームの間にこの版が入っていて、データをBluetoothで飛ばしているようだ。どんな仕組みになっているのだろう。不思議。

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