ルームメイトは副会長―ゲイもレズビアンもパーティー好きもお笑い好きも、みんな生徒会役員になりたい

カナダの学生(カナダ人・留学生問わず)は日本でいうシェアハウスに住む人が多い。公共交通機関があまり発展していないので、同じトロントに家族が住んでいても学校の近くのシェアハウスに住んでいるというカナダ人もいる。物件にもよるが、家具付きでキッチン用品が共用のところもある。新しいものを揃える必要がない分、気軽に引っ越すことができるのだと思う。

私はこの1年の間にホームステイ→シェアハウス→シェアハウスと移り住んでいて、今はオーナー夫婦と息子、同じ大学に通う3人の女の子たちと一緒に、学校まで徒歩10分の一軒家に住んでいる。とは言っても、それぞれ個室があり、生活時間が違ったりするので会わないメンバーとはほとんど会うことはない。

 

私と一番キッチンで会うことが多い女の子が先週、大学のVice-President(副生徒会長)になった。

私は彼女が立候補者になるために必要な推薦人への署名を一生懸命に集め、学校中にたくさんのポスターを貼り、毎日大学内のカフェやフリースペースで色々な人に話しかけ、自分の想いを語っているのを見てきた。だから当選を知った時にはとても嬉しく、彼女の部屋に行き、そして彼女にハグをした。

 

彼女の公約は無料の生理用品の提供。大学の運営予算から算出されるはずなので、名ばかりの生徒会組織というわけではなく、結構ちゃんと運営されているのだと思う。(日本の大学には生徒会があっただろうか?私の記憶にはない。)

 

さて、Vice-President(副会長)の他にもPresident(会長)やBoard of Directors(生徒会役員)というポジションがあった。立候補者は全部で20人、投票前には学校のいたるところにポスターが貼られた。そしてそのポスターは個性的なものばかりだった。

ルームメイトはお手洗いで個室にトレットペーパーを渡しているお笑い系な写真

レインボーカラーを基調に外見は男性だけどとてもフェミニンな写真

外見は女性だけど男性的な写真

マッチョな腕全体に入ったタトゥーを強調している写真

パーティーが好きなんだろうな、と思われる写真

すごくスマートそうな写真

 

LGBTだろうが、タトゥーが入っていようが、留学生だろうが、立候補したい人が立候補していて、自分の個性を堂々と表現していた。その光景はなんだかカナダという国を表しているような気がした。みんな違うのが当たり前、移民の国・カナダ。ちなみに、カナダは白人の国だとイメージする人がたまにいるが立候補者のほとんどは非白人だった。ちなみに私のルームメイトはカナダ生まれのカンボジア系カナダ人である。

 

最近、日本では日本女子大がLGBTの人を受け入れるかどうかを議論し始めた、というニュースを見た。なんでも日本女子大の付属中学校へ戸籍上は男性だが女性として生活している人が入学を希望したのがきっかけなのだという。

カナダに住んでいるとそもそもなぜ女子だけ男子だけしか入学できない教育機関が日本に存在するのかというところから不思議に思えてくる。それぞれに歴史があったのだろうが、もう2017年だ。戸籍上の性別にこだわることに何の意味があるのだろう。

それに、女子大には一部“女子”に特化した学部もあり、それが性別の職業分離に一役買っているような気もする。興味を持つ分野に性別は関係ないはずなのに。

もっと人と違うことに誇りを持てる人間を形成できるような日本の教育機関であってほしいと思ってしまう。そもそも同じ人間なんて存在しないのだから。自分では選択できない身体的な性別で人生の選択肢が狭まってしまうなんて悲しすぎる。

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