映画を観にNY―再び

ふらっと23時間ほどニューヨークに滞在した。トロントからニューヨークは約1時間半、とても近い。ちょっと疲れた時にふらっと行くには悪くない距離だと思う。トロントはカナダで一番の都市ではあるものの、私が生まれ育った東京と比べるとかなりの田舎都市である。トロントの田舎具合はトロントの良さの一つで、私が気に入っている部分の一つでもあるけれど、たまにとても退屈に思えたり、なんだか元気が出なくなったりする。そんな時に私は近所のニューヨークに行く。

今回ニューヨークに行く直接のきっかけを作ってくれたのは、トロントで鬱々とした気分でいた時に見つけた、想田監督の新しい映画「精神0」のMoMA(ニューヨーク近代美術館)でのワールドプレミアだった。迷わず上映日に合わせてニューヨーク行きのチケットを取った。
思い返してみると、前回のニューヨーク滞在も想田監督の「精神の上映に合わせて行ったのだった。想田監督は私にとってとても良いタイミングでニューヨークで映画を上映してくれていると私は勝手に思っていて、勝手に感謝をしている。

詳しくは以前のブログ「映画を観にNY」を読んでいただきたいのだが、想田監督は観察映画というジャンルの映画を撮る監督さんである。私が考える観察映画の一番の良さは、観る側が自分で映画からのメッセージを勝手に読み取り、受け取ることを許してくれるところだと思っている。つまり、観る人次第でシーンのとらえ方も、映画の解釈も違ってくるのだ。

今回の「精神0」は「夫婦愛」「愛と別れ」などといったことがテーマだと聞いていたので、そのつもりで鑑賞していたのだが、私には「老いること」について考えさせられる映画だったように思う。それは私が未婚者であることが確実に関係していると思う。一緒に鑑賞したNY在住のお姉さまは、旦那さまもお子さまもいらっしゃることもあってか、私とは全く違うシーンが印象に残っていたようだったし、故に私とは異なるメッセージを同じ映画から得ていたようだった。

この様々な解釈ができる幅の広さ、懐の深さが想田監督の観察映画の良さなのだと再確認した。

こちらの映画は、ベルリン映画祭での上映が決まっているほか、日本でも5月上旬から上映されるという。日本在住の方にもぜひ鑑賞をおすすめしたい映画だ。

短い時間だったけれどニューヨークに行って良かった。映画から刺激を受け、ニューヨークの街から元気をもらって、トロントに帰ってきました。

質疑応答に応える想田監督と編集者で奥さまの柏木さん。二人のやり取りがまた微笑ましかった。

Pocket

映画を観にNY―再び” への2件のフィードバック

  1. みみみ のコメント:

    ミキさん、こんにちは。
    遅くなりましたが、ブログ300記事おめでとうございます!いつも楽しく拝見しています。
    私がトロントから日本へ帰国してから一年が経ち、今は地元に戻って仕事をしていますが、最近すごくトロントでの生活を懐かしく思い出します。
    ニューヨークの近さも懐かしいです。日本に戻ったらこの季節に行くのは難しいだろうからと、クリスマスシーズンのニューヨークに弾丸で行ったりしました。私もトロントのあの田舎度合が好きですが、ニューヨークは良い刺激になりますよね。またトロントに行った時は立ち寄りたいです。

    • mikiando のコメント:

      みみみさん、こんにちは。
      読んでいただいて嬉しいです。ありがとうございます。
      もうご帰国されて1年になるのですね。以前、もうすぐ日本に帰国する、というコメントをいただいたと記憶していますが、もうそれから1年が経つのかと思うと時間の進みの早さに驚かされます。
      日本トロント間はあまり近くはありませんが、日本からの直行便もありますしぜひまたトロント、そしてNYへお越しくださいね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です