今まで避け続けてきた海外の美容院、ついにトロントで行ってきた。カナダに来てからというもの、おしゃれをする意味が見出せず(だって田舎の学生だし)、清潔で人に不快感を与えない程度の身だしなみであればいいや、というスタンスで生活してきたのだが、最近の環境の変化が私にそれを許さなくなってきたのだ。少し忘れかけていたけれど、人は見た目が9割…とまでは言わないが、第一印象は外見が大切だ。
どこの美容院に行っているのかとクラスメイトに聞いたところ、ミキは日本人だから絶対に日本人に切ってもらうといいよ、とのアドバイス。なんでもバックグラウンドによって好みが違うから自分の好みと違う美容師さんは避けるべきだと言う。一理ある。せっかくカナダにいるのにそれはつまらないと思う反面、その方が間違いない気がした。
私の予想に反して、トロントには多くの日本人の美容師さんを抱える美容院があった。その中から、以前会ったことがあるミヤンマー人の知人がアシスタントをしているという日本人経営の美容院を発見。早速ネットで予約を取った。
予約をする時に、スタイリストさんを選べるのだが、ランク(ランクによって料金が異なる)の付け方が経験年数と英語力が基準だったことに不安を覚える。経験年数とスキルは比例しないし、日本であればスキルでランクが決まるからだ。日本人に髪を切ってもらうだけなのに、それがトロントだというだけで不安は膨らむ。
こんなに不安に思っていた美容院なのに、当日はあっけなく終わった。こんなことなら早く来ればよかったと少し後悔したが、それでも日本と違うことが少しあった。お会計は決まった料金の他にチップを払わなければいけないこと、シャンプーもスタイリストさん本人がやってくれることと、希望する髪型についてとても詳しく聞かれることである。特に髪型は日本人経営だからと言って、日本人だけを切っているわけではなく様ざまな好みのお客さんに対応しているのだろうから詳しい説明を求めるのはわかる。でももし求められる質問に完璧に答えることができたなら、私はここに来ないで自分で切れるのではないか、と心の中でツッコミを入れた。
日本人の美容師さんと話をしているので当然ではあるけど、人種によって髪質はもちろん頭の形が違うので、日本人を切り慣れていない美容師さんだと髪を切る経験やスキルがあったとしても納得いかない仕上がりになる可能性があるので、日本人はやっぱり日本人の美容師さんが一番いいよ、と言われた。髪質は想像していたものの、頭の形は盲点だった。
話をしていて興味深かったのは、カナダの人(特に男性)は会社の昼休みに美容院に来る人が多いのだそうだ。日本人で元会社の私の感覚からすると少し驚くが、会社が終わってからの時間を楽しんでいるカナダの人らしいなと納得した。
もうこれからは迷うことなく髪が切れる。トロントでの生活が今よりほんの少しだけ快適になった経験だった。
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