トロントのイスラム美術館

私のイスラム文化との最初の出会いは2013年に訪れた東南アジアの小国、ブルネイダルサラームだったと思う。モスクが美しすぎて、ずっと見ていられた。装飾がとても綺麗なことに感動し、それと同時に熱心にお祈りする人にとても興味を持ったことを覚えている。無宗教の私とは全く別の世界で生きている人たちのように思え、日本に帰国してからイスラム教について調べた。

ブルネイのスルタン・オマール・アリ・サイフディン・モスク

それから2年後、国教がイスラム教であるマレーシアで働き始め、厶スリムの同僚や友人ができた。仕事中にお祈りをする彼女たちの様子を見学させてもらったり(会社にはもちろんPray Roomがあった)、仕事終わりや休みの日には自前のヒジャブ(頭に巻いて髪を隠す)を持参して飛行機に乗ってモスク見学に行ったりした。

マレーシアのプトラ・モスク(ピンクモスク)

私はモスクやイスラム文化圏で使用される幾何学模様が好きだ。規則正しいパターンに計算された美しい色遣い、それらは完全に計算され完璧な模様を形作っていると思う。

マレーシアのプトラ・モスク(ピンクモスク)の内部

トロントにはイスラム美術を展示するAga Khan Museumがある。ダウンタウンからは少し離れているので今まで行くのに躊躇していたけれど、The Moonという企画展示が終わる前に、と行ってきた。

常設展ではシリアの噴水が再現されていたり、

16世紀 シリア

美しいコーランの展示があったり、

1585‐86年 ウズベキスタン

かわいい香炉が展示されていたりした。

11世紀 イラン

そしていきなり現れるソファのくつろぎスペースは、なんだかとてもイスラムっぽいなと感じたり。

マイクロビーズクッションでくつろぐ人たち

楽しみにしていた企画展では、イスラム文化と月の関係について説明されていた。そもそもイスラム圏ではヒジュラ歴(純粋太陰暦)を採用しているので、月への思いが特別なような気がする。イスラムと言ったらこのモチーフ。

1984年以前 マケドニア

コーランにある月の記述の紹介や、ペルシャ詩人のルーミーの言葉も。

ペルシャ詩人と言ったらルーミーである

2019年は第9月であるラマダンが5月5日から6月4日で、展示の期間中ということもあってかラマダンを描いた展示もあった。たまにラマダン中は完全に断食すると勘違いしている人がいるけれど、夕方から明け方まではごちそうをしっかり食べる。だからこんな絵になるのだろう。

The Beginning of Ramadan, 19世紀前期, イラン

廊下ではイスラム音楽の演奏があったりして、美術館全体がとても良い空間だった。

トルコとギリシャとエジプトがバックグラウンドの音楽家が楽器を弾いたり歌を歌ったりしていた

興味がある方はぜひ。

日系文化会館JCCCの向かい側にあります

10:00-18:00 / 10:00-20:00(水曜日) / 月曜休館 / 水曜日16:00-20:00 入館無料 詳しくはこちら

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