季節とイベントと時間感覚

年を取ると時間の進みを早く感じる、なんて話をよく聞く。年を取るごとに新しく経験することが少なり、刺激の少ない毎日になるので時間の進みが早く感じるのだと聞いたことがある。私にはまだまだその実感はない。カナダであーでもない、こーでもないと毎日過ごしているからかもしれない。

私は時間の感覚には新しい経験の量の他に、季節とイベントが関係しているような気がしている。

私はカナダに来る前にマレーシアに住んでいた。マレーシアは雨期と乾期しかない熱帯地域である。一年中温かく、日本のように四季はない。日本人の感覚からするとなんだか変な感じだ。何ヶ月経ってもずっと夏。マレーシアに入国したのも出国したのも暑い夏のような日だった。マレーシアでの出来事を思い出そうとした時に、それがどの時期なのか思い出すのに苦労する。私はそこで記憶は季節と強く結びついているのだということに気が付いた。

カナダで過ごした3年間についての時間記憶は、なんだかあやふやだ。カナダには四季があるものの、多くの日本人にとって特別なお正月、GW、お盆などなど絶対に外せないイベントがない。カナダでは祝日が違うのはもちろん、同じ名前のイベントであっても同じように過ごすとは限らない。例えばお正月は12月31日まで働き1月2日から勤務。自分で作らない限りはおせちもないので普通の食事。となると、お正月はあるもののお正月気分には全くならない。だから季節感覚というか時間の感覚も、日本に住んでいた時とは違うものになるのだ。

改めて考えてみると、季節と行事が時間の感覚を作るのに大きな影響を及ぼしているのだということがわかる。日本で生まれ育った私は日本人の時間の感覚に慣れていて、それはマレーシアやカナダのそれとは違うのだということを実感する。時間を認識するのは自分の中にある感覚だけでなく、慣習や外部の刺激によってももたらされるのだ。

時間の感覚は時々によって違うけれど、確実に時間は過ぎている。そして人はいつか死ぬ。とするなら、今日の私には何ができるのだろうか。

8月31日独立記念日のマレーシアで。気合い入ったおばさま。

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