盆踊りとアイドル文化

ホント日本人って笑わないし楽しそうに踊らないよね

と日本人の友人が笑いながら言った。夏にBon-Odoriというイベントに一緒に行った時のことだった。クラブ常連の彼女は盆踊りを踊る日本人や日系人、その関係者と思われる人たちを見てそう思ったらしい。言われてみれば、日本の盆踊りは振り付けがすでに決まっていて、みんなで合わせて踊るものだ。一人感情をむき出しにすることはできない。浴衣を着ていることもあってか振り付けもおとなしいので、満面の笑みを浮かべるということもない。

トロントには様ざまな国の出身者がいるので、色いろな国のお祭りに出かけることができる。秋頃に行ったウクライナの建国記念のお祭りでは、みんな凄い勢いで踊っていた。それは伝統的な踊りではなかったけれど、同じようなお祭りでのダンスコーナーにしてはあまりにも違いすぎた。

 

前回も書いた通り最近私はNHKの紅白歌合戦を久しぶりに見たのだが、AKBグループをはじめとした、グループのパフォーマンスが盆踊りと重なって見えた。

みんな同じような体型で同じような服を身に付け、誰が目立つわけでもなく歌を歌い、グループでフォーメーションを組みながら移動する。同じような髪色・髪形、同じような化粧に同じような笑顔。グループに全く知識がない状態で見た私には、すべてのメンバーが同じに見えた。

アイドルグループというものは日本と韓国くらいにしかないと聞いたことがあるけれど、日本のそれは盆踊り文化が基になっているような気がした。

そして盆踊りも現代の大人数のアイドルグループも、みんなと一緒、みんなと同じ、という同質であることを良しとする「日本文化」ととても似ているような気がする。

アイドルグループを見ると過去と現在は繋がっていて、決して切り離すことができないのだなと改めて考えさせられる。

久しぶりに日本のことに触れると、触れたものが日本に住んでいた時と同じことでも、日本に住んでいた時とはまた違う目線で見ることができる。それはとても新鮮だ。

物事は比較することでより理解が深まり、新たな発見が生まれるものだと思う。その意味で今、私はとても貴重な機会を得ているし、カナダにいるからこそ、日本のことについてもっと考えてみたいと思うのだった。

トロントのJCCCで行われた盆踊りのイベント。 (2017年8月)

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