ペットフレンドリーなカナダ社会

私は動物が苦手だ。嫌いなのではない、苦手なのだ。理由は自分でもよくわからないが、動きが予想できないことと、なんとなく汚いのではないかと思ってしまうからだと思う。

そんな私だけど、カナダに来てから猫にはずいぶん慣れた。というのも今住んでいる家にはオーナーの猫も住んでいるからである。猫がいることを契約前に知っていたら絶対に契約をしなかったのだけど、猫がいることを知ったのは契約後だった。いざ一緒に住んでみるとそれほど気にならない。うちの猫はとても自由で、家の中と外を自由に行き来している。猫がリビングにある大きな窓の前にいる時は「外に出たい」のサイン。私は窓を開けて彼を外に出してあげる。また窓の外に座っていたら「中に入りたい」のサイン。私はまた窓を開けて彼を中に入れてあげるのだった。

でも私には犬の免疫がまだほとんどない。日本では驚くべきことだが、カナダの公共交通機関には犬も普通に乗っている。小さな犬は飼い主の膝の上にいることもあるが、大きな犬は人間一人用の座席を占領することもある。混雑している時や飼い主によっては通路に犬が座っていることもある。混雑していなければ良いのだが、混雑している時にそんなバスや電車に出くわすと私は落ち着かなくなる。たまに犬が興奮してしまうからである。そんな時私は席の移動を余儀なくされる。

カナダの人は犬に慣れているので、私のように恐がることはなく、犬とじゃれあっている人も多い。だから私のように恐がる人がいることを飼い主は認識していないようだ。

犬がいるのは公共交通機関の中だけではない。夕方の散歩の時間にはリードに繋がれていない犬が飼い主と共に歩いているし、犬は飼い主と共にカフェにもやってくる。カナダのカフェには犬用の水を入れるお皿などもあり、みんな自由に使う。そして、周りの人から可愛がられる。これは日本でも目にする光景だと思うが、一番日本と違うのは、店員さんも一緒になって可愛がっていることだ。私は店員さんが犬を触った後、きちんと手を洗ってから次の作業をすることを心から願っているが、すべての店員さんが手を洗うことはないと思う。

公共交通機関に犬がいることも、リードのない犬が散歩していることも、カフェの店員さんが犬を触った後に手を洗わないことも、これがカナダなのだ、と思うようにしている。

私にとっては少々違和感と居心地の悪さを覚えることもあるけれど、ペットにとってはとても幸せな空間だと思う。日本のペットより断然自由度が高いからだ。と同時に細かいことにあまりこだわらなければ日本のペットはもっと自由になれるのだと思う。

カナダは日本に比べると色々なことが適当だけど、適当なことは人間にとってもペットにとっても時に幸せをもたらすのかもしれないと思うのだった。

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