カナダ人のダイエット

「バイト先からマフィンとクッキーもらってきたからよかったら。マフィンは今食べるといいかも。クッキーは明日の朝食にしてね。」とルームメイトが言った。すでに夜の8時。今から食べるのは身体に悪いなぁと思いながらも、少し味見してみた。眠気が吹き飛ぶくらい甘かった。特にクッキーの甘さは尋常ではなく、これを朝食にしたら1日が不健康な状態で始まるような気がした。

シェアハウスに住んでいると、誰がどんなものを食べているのかがなんとなくわかる。今まで色々なルームメイトがいたけれど、日本人が健康で長生きできる理由が分かったような気がした。

 

そんな日本人の私は今、6人のクラスメイトで構成される「20lbs by Aug 18th」というグループチャットのメンバーになぜかなっている。「8月18日までに9.072kg痩せる」というグループだ。私がこのメンバーになったのは、たまたま結成された日に一緒にランチをしていたからという理由なのだけど、メンバーと体重の話、ダイエットの話をするたびに反応に困ることになった。半数が私の倍、もしくは倍以上の体重があるメンバーだからである。そんなメンバーには「ミキは20lbs痩せたら消えちゃうね!」と冗談を言われる。そして少し居心地が悪くなる。確かに私は20lbsも痩せたいとは思っていないのだけど。

 

ダイエットのやり方も興味深い。メンバーの一人は普段、私の4倍くらいの量の食事をしていた。初めて一緒にランチをした時、私のお弁当の量に驚き、ダイエットをしているのか、と聞いてきたほどだ。そんな彼女は糖質を避け、すべての食事のカロリー計算をし、カロリーの低いものだけを食べるようになった。彼女のバックには大量の生野菜と果物が常備された。量は少し減って私の3倍くらいになった。そして、平日はほぼ毎日ジムに通う。

 

そんな一生懸命な彼女を見ていると、なぜ20lbsのダイエットが必要になってしまったのだろうかと不思議に思う。でもそれは恐らく環境と習慣なのだと思う。カナダではピザやフライドポテトのような高カロリーなものほど安い。たくさん食べたいけどお金を節約したい人は、必然的に高カロリーのものをたくさん食べるという選択肢しかなくなる。彼女は年末に20kgのダイエットに成功して5kgリバウンドしたと言っていたけど、結局一時的なダイエットに成功しても習慣を変えなければ元に戻ってしまうのだ。

 

ダイエットの期限である8月18日は、私たちの夏学期の最終日だ。その日はみんなで夏学期が終わったお祝いと、ダイエットをがんばったご褒美に、ブッフェに行く計画を立てている。せっかく痩せた身体が元に戻っちゃうね、なんてみんな笑って話しているけど、だからみんなそんな体重になったのね、と妙に納得してしまった。

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