NYの様子は普段と全然違った。コロナの影響だろう、いつも観光客で溢れているタイムズスクエアもがらんとしていて、巨大な電子広告がなんだか虚しく感じられるほどだった。日本のアイドルである嵐の新曲プロモーションも行われていたが、通常より影響は少ないのだろうな、と思った。(Spotifyの広告だった)。
人通りが少ないだけではなかった。街中の多くのビルのショーウインドウや窓には、ボードが張られていた。これは選挙に関する暴動に備えて行っているものだという。私は今回のアメリカ訪問で、NYとワシントンD.C.に滞在したが、どちらでも行われていた。
高級百貨店BERGDORF GOODMANではこのようにボードを付けているところを見ることができた。さすがに本来ある壁にボードを直接打ち付けることはできないので、最初に木で枠を作り、そこにボードを打ち付けているようだった。このボードは、一見あまり丈夫なようには見えないかもしれないが、少し押したぐらいではびくともしないものだ。
この百貨店、数日後に前を通ると、ボードは黒く塗られ、名前を貼っている人がいた。おしゃれな帽子を被った彼は、黙々と作業をこなしていたが、普段はアーティストさんなのだろうなと思った。通常NYにはアーティスト活動をしている人がたくさんいるが、このコロナで仕事が激減していると聞く。彼もその中の一人なのではないか、と少し悲しい気持ちになるが、こうして普段にはない仕事をしながら生きているのだ、と思った。
ボードが張られた店舗はいたるところで見ることができた。
高級ジュエリー店のHARRY WINSTON
1985年のプラザ合意の舞台となったプラザホテル
朝食で有名なレストランSarabeth’s
高級百貨店Saks Fifth Avenue
両隣のお店にボードが張ってあるのに、張っていない店舗があるなぁと思ったら、空き店舗だった。コロナの影響だろう、NYには空き店舗が多かった。
個人店ではメッセージが書いてあるところもあった。
ワシントンD.C.ではスタバもやっていた。
店内から見るとこんな感じ。撮影したのは夜だったが、昼間でもほとんど光が入ることはないだろうと思う。なかなかの閉塞感である。
NYのトランプタワー前も警官がたくさん。選挙の数日前はまだ交通規制はされておらず、近くでトランプ大統領への抗議活動をしている人もいたが、次第に交通規制が広範囲で行われることになった。
交通規制されていてもなお、トランプ大統領に抗議する人、トランプ大統領の支持を表明する人、双方がこの付近へ来て、主張していた。そして警官とメディアが群がっていた。
トランプ大統領のフェイスマスクを頭に被った女性。(撮影:投開票日当日、11月3日)
これまでの大統領選挙では、このように暴動に備えてボードを張るなんてことはなかったと聞いた。それだけ特別だった今回の選挙、小規模または個人単位での衝突は多少あったようだが、大規模な暴動はなく、ボードの出番は今のところないようだ。このまま平和的に選挙を終え、早く本来の街に戻ることを願っている。