トロントに到着すると、「帰ってきたなぁ」と思う。トロント4年目で東京歴の方がはるかに長いけれど、今の私の家はトロントなのだ、と改めて感じる。
ホームであるトロントを離れて故郷の東京で生活していると様ざまな違和感を覚えることになった。
エスカレーターはどちらに立てばいいのか、今までだったら何も考えることなく無意識のうちに左側に立っていたはずだが、いちいち考えないと行動できない自分がいた。(カナダでは右に立ち、左を歩く)
道路で車の往来を確認する時も同じ。左から確認する癖が付いているので(カナダでは右側通行)、うっかりするとひかれそうになる。
道で人とすれ違う時には、右によけようとする私は人と衝突しそうになる。(日本人は左側通行の習慣から左側によける人が多い。カナダは右側通行だから右によける)
人とぶつかればSorryと言ってしまうし、くしゃみをした人にはBless youと言いたくなる。
日本で電車は時間通りに来るのに、時刻表を確認せずに家を出てしてしまったり。
それだけではない。なんと東京の冬が全く寒く感じないのである。トロントの冬はマイナスの気温が普通なので、いつの間にかその気候に慣れたのだろう。周りの人が寒い寒いと背中を丸めて歩いているその隣で、暑いなぁとダウンジャケットを脱いで汗をかきながら歩いている私は、自分でも不思議だった。日本にいた時はあれほど日本の冬を寒がり、かなりの厚着をしていた私。自分で自分が信じられなかった。
結局、無意識レベルで生活している場所に適応していくのだと思った。行動も身体の感じ方も。
それを体感している私はとても不思議だが、この適応力はトロントで生活していくには必要不可欠なのだと思う。トロントに適応しつつある私は今日もトロントで生活していく。