23日の仕事終わりに空港へと急いだ。会社から空港までタクシーで10分。普段は辺鄙なところにあるオフィスで嬉しくないけれど、この時ばかりは会社がこの場所にあることに感謝した。
今回の旅はTexas州を周る旅だった。San Antonioから入り、Houston、Austin、そしてSan Antonioに戻ってきてトロントへ戻る。なぜこの場所を旅することになったのかと言えば、単純に航空券が安かったからである。Skyscannerで旅行期間だけを設定して航空券を安い順番に並べたら、San Antonio行きの航空券が引っかかったのだった。往復411カナダドル(35,500円くらい)。距離を考えるとかなりお買い得だ。また、未だアメリカ南部を訪れたことのなかった私にとってTexas州は魅力的な場所だった。
趣味を聞かれると、旅です、と答えていたこともある私だけれど、カナダに来てからは旅熱もかなり冷め、あまり旅に出たいという欲求が起きていなかった。でも今回はなかなか取れない連休だしと久しぶりに旅に出ることに決めた。
毎回そうなのだが、旅の最中は新しいことの連続で緊張感があり、ものすごく疲れるので早く帰りたいと思っていたりする。ではそもそも旅にでなければ良いのに、と思われるかもしれないけれど、帰国した途端にまたすぐにでも旅に出たいという気持ちになる。私は気まぐれでわがままなのだと思う。
今回、なぜ私は旅に出るのだろか、ということについてぼんやりと考えたのだけど、なんとなくわかった理由がある。
私は自分の目で確かめたいのだと思う。Googlemapを使えば世界中のほとんどの場所を見ることはできるけれど、それはただ見ることでしかなく、その場所の雰囲気や人や匂いや音までを感じることはできない。危険だと言われる場所も行ってしまえばそれほどではない場合もあるし、逆に安全だと言われる場所でも嫌な危険な雰囲気を感じることもある。その場に行く、ということは五感を使ってその場所を感じることであり、それはインターネットを通じてはできないことだと思う。
だから旅の最中は未知の世界に遭遇することが恐くて外に出ることを躊躇したりするけれど、一度外に出てしまうとそこには私が今まで知らなかった世界があるので、結果としてそれが楽しいのだ。
また、旅先で新しく知ったり経験したことは、帰国してからも日々の生活に色どりをもたらしてくれる。訪れた場所に関連するニュースやイベントなどに自然と興味を持つようになるのだ。今まで全然気にならなかったニュースが一気に身近になる。今回も帰国後に、今回の旅に関連する講演会に急遽参加した。それは今回の旅をしていなかったら絶対に参加していなかったと言い切れる。旅は帰国してからも引き続き私を楽しませてくれる。
トロントに帰ってきてから、次はどこに行こうかとわくわくしながら安い航空券を意味もなく検索していたりしている。日本に住んでいた時には気軽に行けなかった場所がトロントからはアクセスしやすかったりするので、これからもトロントの場所を活かして旅を続けていくのだと思う。