カナダの新聞で日本関連のニュースが出ることは珍しい。まして新聞の一面だなんて。2021年3月11日のThe Globe and Mailの一面に日本の写真が使われているのを見て、驚いた。
カナダには全国紙がないので、新聞はすべて地方紙だ。トロントの主要新聞のWEBサイトでどのくらい東日本大震災が取り上げられているか、誰が記事を書いているのかを確認してみた。
検索してみると、Toronto Starに3記事、The Globe and Mailに2記事、National Postに4記事、Toronto Sunに1記事確認できた。
【Toronto Star】
カナダで一番の日刊新聞Toronto Starは、ほとんどのコンビニで売っており、カフェで自由に読めるものが客に提供されていたり、一部マクドナルドでは無料配布していたりするので、一番目にすることの多い新聞だ。
ここではアメリカの通信社、AP通信の山口真理記者の記事を掲載している。
①「EXPLAINER: How dangerous is the Fukushima nuke plant today?(説明者:現在の福島原発の危険度は?)」
②「Still recovering, Japan marks 10 years since tsunami hit(まだ復興途上、日本は津波の被害から10年を迎えた)」
③「Japan’s recovery from tsunami disaster, by the numbers(数字で見る日本の津波災害からの復興)」
【The Globe and Mail】
170年の歴史がある新聞社。だが一般のコンビニではほとんど売っておらず、一部のオフィスビル内のコンビニでのみで売っているイメージ。
①「Scars of Fukushima: How Japan is looking back at the 2011 disaster and the rebuilding that lies ahead.(福島の傷跡:日本は2011年の震災をどのように振り返り、これからどのように再建していくのか。)」
→Andy TAKAGI、フリーランス記者による有料記事。日系人だろうか。
②「Japan earthquake disaster commemorated with eerily beautiful exhibition at UBC’s Museum of Anthropology(東日本大震災を記念してUBC人類学博物館で不気味なほど美しい展覧会が開催された。)」
→バンクーバーに籍を置くMarsha LEDERMAN記者による記事。UBC人類学博物館はバンクーバーにあるので現地記者が書いたのだろう。カナダならではの記事。
【National Post】
たまにコンビニで見かけるNational Post。ロイター通信(イギリスの通信社)の山光瑛美記者の記事が1つ、その他は無記名記事。北米の新聞らしくレディー・ガガのメッセージについて触れている。4記事出していて今回確認した中で最多。
①「Ten years on, Japan mourns victims of earthquake and Fukushima disaster(震災から10年、日本は地震と福島原発事故の犠牲者を追悼する)」(山光瑛美記者)
②「Japan emperor expresses condolences for 2011 victims, says problems remain(天皇陛下、2011年の犠牲者に哀悼の意を表し、問題は残っていると語る)」
③「Japan PM Suga: Still unbearable to contemplate loss of life in 2011 disaster(菅首相:2011年の震災で亡くなった方々のことを考えると、いまだに耐えられない)」
④「Fighting through the pain: Lady Gaga sends message of support to Japan(痛みを乗り越えて戦う:レディー・ガガが日本に応援メッセージを送る)」
【Toronto Sun】
多くのコンビニで売っている印象のタブロイド紙。紙面も、縦長ではなく正方形で上記3社とは見た目も違う。ロイター通信(イギリスの通信社)の山光瑛美記者の記事を出している。内容はNational Postとほぼ同じだが、Toronto Sunの方が長く、関連動画や写真の埋め込みがあり充実している。
①「Ten years on, Japan mourns victims of earthquake and Fukushima disaster(震災から10年、日本は地震と福島原発事故の犠牲者を追悼する)」(山光瑛美記者)
通信社の記事が多い中、The Globe and Mailでは紙面の1面を使い、2つの独自記事を出し、一番手間をかけているのが確認できた。Andy TAKAGI記者は自身のTwitterで、今回初めてフリーランスとして記事を書いたとTweetしていて、The Globe and Mailがわざわざ執筆者を探したように見えなくもない。
今回の件で言えば、日本人の私は通信社のような記事はどこかしらで目にすると思うので、The Globe and Mailのように独自記事を出してくれるのは読者として大歓迎である。それこそカナダのメディアに触れるモチベーションに繋がる。今までToronto Starを読むばかりでThe Globe and Mailを読む機会は少なかったのだが、The Globe and Mailを読んでみようと思わせる結果だった。
参考:
- カナダの新聞について:Top 10 Canadian Newspapers
- 新聞の一面について:Freedom Forum(アメリカの団体なのでアメリカの新聞が中心だが、当日の世界各国の新聞の一面が読める。比較するのに便利で楽しい。残念ながら日本の新聞は登録されていない。)