トロントでは多くの種類のワインが酒屋に並んでいる。ヨーロッパのワイン、南米のワイン、アフリカのワイン、オーストラリアのワイン、そしてカナダのワイン。あまり知られてはいないが、カナダはワインの産地でもあるのだ。ワインの知識が全くなかった私なので、今までワインを購入する時には地産地消の精神で何となくカナダ産、特にオンタリオ産のワインを選んでいた。
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酒屋にはオンタリオ産のワインがたくさん並んでいるし、ワインショップの中にはカナダワインしか置いていないお店もあったりする。VQAはVintners Quality Allianceの略でカナダ産ワインの証。
実はまだトロントに来て間もないころ、オンタリオ産のワインがたくさん並んでいるのを見て、一度ワインの勉強をしようと試みたことはあったのだが、なんだか小難しいので結局すぐに諦めてしまった。なのでレストランでワインを頼む時には適当に頼むかソムリエもしくはサーバーの言いなりだった。
そんな私だったが、先日、美味しいお料理をいただきながらソムリエさんからワインのレクチャーを受けられる会にお誘いいただいたので、とても楽しみに参加した。
レクチャーを受けながらテイスティングしたのはこちらの10本。
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スパークリングワイン4本
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白ワイン3本
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赤ワイン3本
これらを飲みながらワインの産地や製造工程から味わい方まで、そして些細な質問にもソムリエさんはとてもよく説明してくれた。それはとんでもない知識量だった。ワインの事だけでなく、ワインを飲んだ時の身体の生理的な反応まで、ワインに少しでも関係することは何でも知っているようだった。レクチャーに慣れているのか、とてもわかりやすく、素人の私でもわかるくらい簡潔にワインについて教えていただいた。
また、10本のワインを一度にテイスティングすることは、私にとってとても貴重な経験だった。本で読んでワインはそれぞれ味や後味に違いがあるのだ、と知ってもそれを体験することは難しい。一人で10本のワインあけることも、レストランで10種類のワインをグラスで頼むこともできないからだ。一種類一種類少しずつテイスティングできた意味は大きい。百閒は一見にしかず、であることを思い知った。
しかしこのワインテイスティングの数週間後、友人宅で催されたホームパーティーのワイン係に偶然指名されたので、ワインテイスティングで知った好きなワインを購入しようと意気込んで酒屋に行ったのだが、同じものが売っておらず、結局いつも通りなんとなく良さそうなものを購入することになってしまった。文字通り一朝一夕にはいかないのだと思い知った。そううまくはいかないものである。
最後に、この会で忘れてはいけないのは提供されたとても美味しいお料理の数々だ。今回は日本人女性の会だったので、お料理を提供してくださったのも日本人女性で、とても本格的な和食をいただいた。
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前菜は洋風。これも感激の美味しさ。
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和食の数々(もっとお料理はあったのだけど、食べるのに夢中で写真には収まらず)
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デザートは別腹。甘すぎないケーキは久しぶりだ。
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ブドウジュースを手作りできることをこの時初めて知る
トロントではある程度日本の食材を手に入れることはできるけれど、それはかなり限られていて日本と同じように料理をすることは難しいのだとずっと思っていた。でもこの日のお料理は完全な日本食だった。繊細な味付けはトロントの日本食レストランではいただくのは難しいほどレベルの高いもので、感動の一言に尽きる。間違いなくトロントでいただいた食事で一番美味しいお料理だった。
私のトロントでの自炊生活はかなり手抜きなので、もう少しちゃんと料理をしようという気にさせてくれた。これもまたワインと同じように厳しい道であることは間違いないのだけど。