アメリカは外国じゃない

たまに、あれ?と思うことがある。カナダ生まれのカナダ人と旅行の話をする時だ。どこの国に行ったことがあるか、という話をすると、多くの人がアメリカの名前を出さないのである。そこで私がアメリカには行ったことがないの?と聞くと、ん?もちろん行ったことがあるよ、と答える。私がアメリカは外国じゃないの?と聞くと、まぁ確かに外国だけどね、みたいなそっけない返事をされる。

アメリカに行くのは簡単だ。トロントからなら車で少し走れば国境だし、飛行機ならカナダの国内旅行より安く飛べる。とても気軽に行くことができる隣国なのだ。私は日本人なので経験がないけれど、車での国境越えの時は審査が他の国のパスポートを持っている人より遥かに簡単らしい。

島国である日本育ちの私にはなんだか変な感じだ。パスポートを念入りにチェックされない入国審査なんてない。

入国審査といえば、カナダからアメリカへ飛行機で移動をする場合、カナダの空港でアメリカの入国手続きをする必要がある。カナダの出国手続きはしなくて良いのに、だ。そして飛行機はアメリカの国内便のターミナルに到着する。もちろんアメリカに到着してからの入国審査はない。だから何も知らずにカナダの空港にぎりぎりに到着した人が困っているのをよく見かける。カナダで行われるアメリカの入国審査で引っかかってしまうとフライトを逃してしまうからだ。しかも日本とは違うので、フライトの時間が迫っていても優先的に審査してもらえない。焦った人が列の前に行かせてもらえないか、と係員に言うと、「I don’t care!」と門前払いされる(本当にこの通りに言われているかわいそうな人を見かけたことがある)。係員はなかなか冷たいのだ。その代わりにその人の周りにいる人たちが早く前へ行けと自主的に協力したりする。それでも混雑時には飛行機に乗れないこともあるようで、知人が先日飛行機を逃したと知って衝撃を受けた。

カナダ生まれの友人の一人は、先祖がカナダとアメリカを行ったり来たりしていたという家族の歴史があるという。だからアメリカは特別な外国ではなく、もっと身近に感じられるものなのだと教えてくれたし、兄弟がアメリカで働いているよ、とか、転勤で最近までアメリカに住んでいた、という人の話も珍しくない。

それもそのはず、政府の統計によると、2017年12月にアメリカを訪問した人(日帰りも含む)は延べ358万5千人にも及ぶ。2017年の人口が3662万6千人なので、人口の9%の人が1ヶ月のうちにアメリカを訪問したことになる。これは多すぎやしないか。ちなみに、2017年12月にカナダに来たアメリカ人は延べ203万1千人。2017年の人口は3億2647万4千なので、わずか人口の0.6%となっている。人口が少なくビジネスもアメリカに比べて活発ではないのでこの結果にはそれほど驚かないが、いかにカナダ人がアメリカによく行っているのかがわかる。

そんなわけで、カナダはアメリカの影響を受けていると言われている。私の感覚だとアメリカの文化が少しソフトになってカナダに輸入されているイメージだ。私は仕事で毎日アメリカの会社に電話をするけれど、色いろと雑で驚く。そしてたまにカナダの会社に電話をするととても親切できちんと対応してくれるので、とても安心するのだった。

似ているようで違う文化のアメリカは、カナダにとって外国とも言い難いとても身近な隣国なのである。

Pocket

アメリカは外国じゃない” への2件のフィードバック

  1. みみみ のコメント:

    こんにちは。以前もコメントした者です。
    私は少ししかカナダを知りませんが、カナダ人は本当に親切ですよね。アメリカの人たちもフレンドリーで愛想が良いですが、優しさと言えばカナダが勝るかなと思います。終盤の文章になんだか共感しました。
    もう帰国した身ですが、ミキさんのカナダ生活を垣間見れるこのブログいつも楽しみにしています。
    陰ながらミキさんのことを応援しています!

    • mikiando のコメント:

      お久しぶりです!コメントありがとうございます:)
      ご帰国されたのですね。日本はどうですか?また機会を見つけてトロントの広く綺麗な空のもとトロントの優しさに触れに戻ってきてくださいね。
      引き続きよろしくお願いします!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です