公共図書館はその地域を計るバロメーターの一つになり得ると思っている。どんな本を所蔵するのか、どんな人が利用するのか、公共図書館に行くとその地域のことがなんとなくわかる。私は図書館が好きで色いろな国や地域の図書館に行ってきたが、その度に色いろな発見を図書館でしてきた。
今回行ったのはSan AntonioにあるCentral Library。大きく新しい開放的な図書館だった。至る所にメキシコを想像させるオブジェがあるのが印象的だ。
人口の63.6%がヒスパニックまたはラテン系(全米では18.1%)のSan Antonioなので、もちろんスペイン語で書かれた蔵書も充実している。
子どものコーナーには65の言語で翻訳されているアメリカ人Eric Carleが著者のはらぺこあおむしの飾りがお出迎え。土地があるからこそできる、スペースを存分に使った展示だ。
いつも必ず確認する日本語コーナーももちろんあった。でもよく見てみると蔵書がかなり偏っている。誰かの家にある本棚を見ているような気分だ。
開いてみるとやはりそうだった。寄贈本だ。
この本は私がトロントで勧められて読んだことがあり、このブログにも書いた「密航船水安丸(新田次郎著)だった。海外移住をしたであろう寄贈者は自分以外の日本人海外移住者について興味があったのだなと推測する。そしてSan Antonioのような日本人があまり住んでいない地域には、日本語の本は図書館としてほとんど購入しないのだということがわかる(San Antonioのアジア人の人口は2.7%しかない(全米では5.8%))。
引き続き館内をふらふらしていたら、Jobs & Small Business Centerという場所に着いた。他の階にもちらほらと無職だと思われる人たちが本を読んだりネットサーフィン(無料Wifiがあるのだ)をしていたのは知っていたけれど、この場所ではそんな人たちが他の場所よりも多くいた。
図書館にいた人たちは、静かに時間を過ごしていたけれど、あまり一緒にその場所にいたいとは思えない空間だった。建物が新しく綺麗で明るいせいもあり、彼らはとても目立って見えた。
私は無職だから犯罪に走るとは思っていないけれど、無職であれば犯罪に走る人が出てきてもおかしくない。外を歩いていてあまり安全だと感じられなかった私の感覚は正しかったのだと思った。治安が良い国や地域の図書館にはこのような人たちはほとんどいないからだ。公共図書館は基本的に無料で全市民に開放されていて利用者を選ぶことはしない。だからこそ、どんな人が図書館を利用するのか、それを見ればその地域のことが少しわかる。
だから図書館巡りは楽しいし、私はこれからも図書館巡りをするのだと思う。
アメリカの統計:U.S. Census
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