すいぶん時間が経ってしまったけれど、6月末にカナダのトロントではプライドパレードがあった。一昨年も昨年も今年も、このパレードを見て色いろなことを感じて、それをこのブログに書こうと思ったけれど、なんと表現をしたら良いのか考えだしたらきりがなくて書けずにいた。でも最近の日本でされているLGBTQの報道を受けて、書いてみることにする。
カナダでは色いろなパレードがあるけれど、一番規模が大きく集客するのはこのプライドパレードだと聞く。パレードの始まる前から場所取りをする人もいるほどで、多くの人が行進する人たちを見て歓声を上げる。
プライドパレードはLGBTQ(L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダー、Q=ジェンダークィア)の人たちの権利を訴えるもので、トロントだけでなく世界中で行われている。あまり知られていないらしいが、実は日本でも東京レインボーパレードという団体が渋谷でパレードを毎年行っている。
今年は参加しなかったようだけど、トロントのプライドパレードは首相も歩くほど大規模で注目される催しだ。私は毎年プライドパレードの会場に行っているが、LGBTQの人たちに対する考え方はこのパレードを通じて、その他日常の生活を通じて、トロントへ来た当初からかなり変わったように思う。
2年前と今年は沿道で見学しただけだったけれど、昨年はLGBTQの方々と一緒に歩かせてもらうという貴重な機会をいただいた。参加(歩く)するには、どこかの団体に所属する必要があるのだが、誘われたのが前々日の深夜ということもあり、焦った私はKindleで関連書籍を10冊くらい大人買いして前日と当日の午前中に本を読み漁り、一緒に歩く方々に失礼のないように準備した。私が恐れていたのは、私が悪意なく放った言葉で彼ら彼女らを傷つけてしまうことだった。というわけで一緒に行進する彼ら彼女らに会うことに対して準備をしてはしたものの、かなり緊張していたのだった。
でもいざ行進の列の中に入ったら、皆さんは笑顔で優しくて思いやりのある「普通の人」だった。準備したことで私の知識が増えたのは無駄ではなかったが、私は彼ら彼女らをすごく「特別な人」として認識していたことに少し申し訳なさを感じた。
特に問題もなく行進が終わり、トランスジェンダーで男性から女性に性別を変更したとても綺麗なお姉さんと話をしていた時、1年経った今でも忘れられない会話をした。
話の流れで「どんな人がタイプなの?」と聞いたら、「優しくて、男らしい人かな~」と答えられてはっとしたのだった。偏見なのを承知で言えば、私は外見に関する答えを無意識に期待していたように思う。そんな私に内面のタイプを答えた彼女に少し驚いてしまった。
でも考えてみればタイプを聞かれた「普通の女子」は友達とタイプについて話す時に内面的なことを答えると思うし、彼女が答えたことに特別なことは何もない。トランスジェンダーだから、マッチョが好きなんじゃないか、とか背の高い人が好きなんじゃないか、とかそんなことは全然なくて、普通の女子だけど、たまたま身体的な特徴が男性だっただけなのだと思った。
彼女はずっとプライドパレードに出たかったけれど、ずっと親に反対されていて出られなかったのだと言った。彼女の見た目はほぼ女性と変わらないけれど(声は少し低い)、パレードで歩くということはトランスジェンダーだと公の人に向けて発信することと同じこと。トランスジェンダーなのだということを他の人に知られることを両親は快く思っていないようだった。彼女の周りでも、そういった理由で歩きたくても歩くことができない人も多くいるのだという。プライドパレードではたくさんの人が歩いているし、カナダ社会ではLGBTQの人を差別してはいけない、という空気もあるので、彼女の発言は意外だったし、話を聞いていて悲しくなった。
でも実際には差別は存在するし、表面的に差別はしなくても心の中では差別の気持ちを持っている人もいる。表面的なことは取り繕うことはできるけれど、人の気持ちを根本から変えることは難しいのだと実感する。
長くなったので今回はこのへんで。次回のブログでは、私の出くわしたLGBTQ差別について紹介したいと思う。
数年前からミキさんのブログを読ませて頂いています。私も獨協大学の卒業で、サークルの先輩がFBでミキさんのブログをシェアしていたことがきっかけで読み始めたと記憶しています。
私は今年5月からトロントにワーキングホリデーで滞在しており、プライドパレードも見に行きました。たくさんのLGBTQの方々とその家族やサポーターなどの方々が歩くのを見てとても感動しました。胸が熱くなり涙が出ました。でもこんな感情を抱くことは特別視してる証拠なのかな…などと考えたり。。でも行って空気や熱を感じられてとても良かったです。
次の記事も楽しみにしています!
読んでくださって、またコメントしていただきありがとうございます。嬉しいです!
そうですね、確かに家族やサポーターの方々が歩いているのも良いですよね。私もサポート団体に混ぜてもらい歩きました。
日本との違いを感じつつ、お互いに楽しく学びあるトロント生活にしたいですね。