毎年いまいちハロウィンに興味が沸かない。カナダで迎えた昨年のハロウィンはパンプキンパレード(ジャックオーランタンをたくさん並べたイベント)に行ったり、ハロウィンパーティーに行ったりしてそれなりに楽しんだけれど、めんどくさがりということも手伝って、仮装はしなかった。
ハロウィンの時期になると必ず思い出すことがある。何年か前に、渋谷のハロウィンイベントに参加したという友人がしてくれた話だ。ハロウィンイベントでナンパしてきた人には本名は教えないし年齢も少し若く言って学生ってことにするんだ、と。話を聞いていると、外見のみを仮装するのではなく、内面も他の誰かになりきるようだった。日本でハロウィンが流行る理由が少し分かった気がしてもやもやした。
今年のハロウィンは一時帰国中の東京で迎えたので、夜の食事の約束の前に、観光気分で渋谷に行ってみた。時間が早かったということもあって、仮装した人より警察官の方が多いような印象だ。警察官も大変である。
なんだ、仮装した人なんていないじゃないか、と少しがっかりしながら歩いていると、いた。びっくりするような仮装をした人たちが。彼女たちのどこに私が驚いたかおわかりだろうか?
なんと彼女たちは模造銃を持っていた。私は一人ぞっとした。あの銃が偽物だという確証はないだろう、と。周りの人は何も気にすることなく写真を撮っている。日本は銃が身近にないので、銃のようなものを見ると偽物だと判断する。なんて平和な国なんだ。そして迷彩服。戦争を身近に感じないからこそ仮装として成立している気がした。
私は去年学校のハロウィンパーティーに参加したが、仮装にもルールが設けられていて、兵器を模した物の持ち込みはNG、フルフェイスのマスクの着用はNG、などいくつかの規定があった。実際にはバラエティショップでフルフェイスのマスクも売っているので、すべてのパーティーでNGというわけではないと思うが、仮装には一定のルールが存在することもある。
日本は定着してから日が浅いせいか、何でもありである。これはある意味すごいことだ。ルールを設けなくても皆が平和に楽しめるという点で。
これから日本のハロウィン(というか仮装パーティー)はどうなっていくのだろうか。いつまでも模造銃を持つことがNGにならないくらい平和な日本であり続けてほしいと思う。