カナダ生活楽しそうだね、と一時帰国中にお会いした方からよく言われた。私は自分で選択してトロントにいるわけだし、毎日楽しいと言えば楽しいのだけど、「楽しい」という言葉に含まれる意味が少し違うような気がした。
以前、一時帰国では靴を買って帰るなどという記事を書いたけれど、本当のことを言うと私が海外で生活し始めてから一番お世話になっているのは日本の胃薬だと思う。日本に一時帰国する友人にお願いしたり、両親に送ってもらうこともある。今回ももちろん購入した。
私はストレスが身体に出やすいタイプなのだと思う。でも周りの留学生がストレスで身体を壊したり、精神的に辛くなって学校内にあるカウンセリングを利用した、というような話はよく聞くし珍しいことではない。海外で生活するということは少なからずどんな人でもストレスを感じるものなのだと思う。
以前、旧友から仕事に疲れたからどこか海外に行こうと思うのだけど、という相談を受けた。きっと彼女は私から海外生活の楽しさや素晴らしさを聞きたくて連絡をくれたのだと思う。でもそんな話を私は彼女にできなかった。だって海外生活はそんなにラクじゃない。
でもそれは彼女に限ったことではなく、日本でお会いした方からも感じることができた。日本で働くのは大変だ.。私も以前働いていたからわかる。海外生活は刺激的だし、私はカナダに来て良かったと思っているけれど、海外に引っ越したからといってすべてがうまくいく、ということは全くない。大変な事柄が違うだけで、大変なことは海外にいてもある。むしろ海外の方がある。
居心地のよい完璧な場所など存在するはずがない。生きていく上で一番大切なことは、完璧でない場所でいかに心地よく過ごすか、だと思う。その人にとってよりベターな場所はあるかもしれないけれど、極端に言えば日本でも海外でもどこでも心地よく過ごせる人は過ごせるし、過ごせない人はどこに行っても過ごせないのだと思う。要するに自分次第なのだ。
そんなことを考えながら、今回の一時帰国をするまでは全く選択肢になかった、日本へ完全帰国する、という選択肢について考え始めたのだった。今までいやだった日本だけど、今なら以前よりも気持ちよく過ごせるような気がする。
この記事をもって、一時帰国中の出来事シリーズを終わりにします。
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