大晦日と言えばNHKの紅白歌合戦だ、と考える私は少し古いのかもしれない。紅白は予定調和でお世辞にも面白いとは言えないけれど、日本で自宅にいる時にはなんだかんだ紅白をつけていた。だから私にとって大晦日と言えば紅白なのだ。
トロントではクリスマスは盛り上がるものの、お正月は盛り上がりに欠ける(休みは元旦のみで2日から普通の日になる)。でもトロントで紅白を見ることができたら、私のお正月気分が少し盛り上がるのではと思い、見る方法を調べてみた。
紅白をカナダで視聴する場合、日本のVPN接続(カナダにいながら日本のIPアドレスを使ってネットにアクセスすること)をできるようにしてから、NHKオンデマンドに登録し、紅白の番組を購入すると見ることができる。VPNは1ヶ月間の無料お試しで契約し、NHKオンデマンドで紅白を視聴することにした。ちょっと誤算だったのは、リアルタイムで紅白を見ることができないこと、紅白は前半216円、後半216円と、視聴するのに料金が発生することだった。
すべて準備が整った段階で料金が発生することを知り、少し迷った。見たかった安室ちゃん(私は安室ちゃん世代である)はYoutubeですでに見ていたのでなおさらだ。でもせっかく準備をしたので後半を購入して見てみることにした。
データが重いことに加えて、電波も安定しておらず、なかなか鮮明に映らない。画質を「低」にして荒々しい映像を見る。くわえて、早送りしたいのに思うようにできないというストレスを抱えながらの視聴となった。
そんな中、番組に違和感を覚えたのは見始めてすぐのことだった。後半トップバッターの欅坂46のトークが不自然なのだ。ボケがあるのにツッコミがないような、まだまだ続きがありそうな不思議なトークを残して出番は終わり、次の歌手になった。
あまりにも不自然なので気になって調べてみたら、メンバーが2回目のパフォーマンス中に倒れたり、ふらふらになったりしたらしかった。NHKオンデマンドではその2回目のパフォーマンスがカットされていたのだ。よく見たら、サイトには、「※番組の一部が編集となる場合があります。あらかじめご了承ください。」と書いてある。
一方で、欅坂46の公式Youtubeチャンネルにはノーカットで最初から2回目のパフォーマンスの最後まで、しかも通常版と副音声版の2種類がアップされていた。ということは欅坂46側は問題がないと判断したということなのだろう。とすると、NHKは放送するのに“適切ではない”と判断したということになる。
気をつけて見ていないとメンバーが倒れるところは気が付かないくらいだし、せっかくメンバーがふらふらになりながらもがんばったパフォーマンスがなかったことにされていて、私は個人的にカットされたことは残念に思った。でも他の人がみれば不快や不安な気持ちになったりするのだろうか。多くの人に気を遣う必要があるであろう公共放送のNHKの放送するかしないかの判断はきっと私が考える以上に難しいのだと思う。
この件から、このようにテレビは普段から編集されているのだ、ということを改めて実感する。見せたくないものはないことにする。見せたいところだけを見せる。二次情報は常に誰かの視点で情報が切り取られ、報道される。そこに何らかの意図があるなしに関わらず。それがマスコミであり報道なのだと思う。
今回は番組の一部をカットするという編集方法だったのでわかったけれど、きっと通常の報道であればうまく編集されて気が付かないと思う。普段から異なるソースからの情報を得て、情報を疑い、情報を取捨選択していかないといけないのだと思う。多くの情報が溢れる現代において、情報リテラシーを持つことは大切なことなのだ。
新年を迎え、色いろと考えを巡らせながら見た紅白歌合戦。日本語だけでなく英語の情報も積極的に取っていく2018年にしたいと思うのだった。
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