「あなた中国人でしょ?え?日本人?それってどこにある国?」
とクラスメイトに聞かれた。トロントに来て2回目だった。日本という名前も、日本がどこにある国かも知らない人に会ったのは。
2人の共通点は、アフリカ出身の黒人で、自国ではなく海外の大学と大学院を卒業して、今トロントに住んでいるところだ。彼・彼女が地理や世界経済に弱いのではないか、と言ってしまえばそれまでだが、こんな時に日本のアフリカでの影響力のなさを実感する。
中国は知っているらしかったので、とりあえず「中国の東にある島が日本だよ」と説明してみる。するとどうだろう。私がアジアの貧しい国出身で、政府から奨学金をもらって留学している留学生だという物語が出来上がるのである。そして私に対してどこか同情的な雰囲気になる。心の中では、日本のGDPは世界3位でカナダ(10位)より上ですよ、と思ったのだが、今日は時間がなくその説明ができずに終わった。彼女のトイレの順番が来てしまったからだった。
明日にでも彼女の誤解を解きたいと思っている。でも、ふと思うのは、なんと日本を説明しようか、ということである。海外で日本人であることを告げると、スシ・テンプラ・マッチャ・トヨタ・ソニー・マンガが有名だよねと、自分がいかに日本のことを良く知っているかをアピールしてくれる人が多い。でもそれがあまりにワンパターンなので、それを聞く度にまたか…と思っていた。でも自分で全く日本について知らない人に一から日本を説明するとなると結構難しい。
明日は経済や文化について少し話してみようと思う。そして、彼女が知っている唯一の日本人として、日本の良さを広めていく草の根運動をしていこうと思う。