今回この大統領選の時期にアメリカを訪問したのは、お世話になっているフリージャーナリストさんに付いて行かせていただいたからだった。
テレビの生中継、現地レポートの収録、現地専門家のインタビュー収録、ラジオの生出演など、色いろなことに対応されていた。私は雑用担当だったが、NYとワシントンD.C.ではテレビ用の市民インタビューをさせていただいた。
NYでは期日前投票所の近くで待機し、10人に話を聞いた。インタビュー内容は、トランプ大統領とバイデン候補のどちらを支持するかとその理由だ。9人はバイデン候補の支持で、1人はトランプ大統領の支持だった。そこに意外性は全くなかった。NYはもともと民主党が優位な州であり、バイデン候補の支持者が圧倒的に多いのだ。1人、トランプ大統領に当たったのが運が良かったと思えるくらいだった。ただ、バイデン候補を支持する理由を聞いてみると、考えさせられる回答が多くあった。
バイデン候補を支持する理由を教えてください、と聞くと、「トランプ大統領は―」とトランプ大統領への批判を始める人が多かった。確かに二大政党制で共和党のトランプ大統領か、民主党のバイデン候補か、と問われ、トランプ大統領がダメだからバイデン候補、というのはもっともだし、理由として成り立つわけだが、それでもバイデン候補のここがいい!というポジティブな意見を聞くことは少なかった。つまり消去法でバイデン候補なのだ。
一方、インタビューした中で唯一トランプ大統領の支持を表明した方は、理由を聞いてみると積極的にトランプ大統領を支持していることがわかった。
期日前投票所は、ブロードウェイミュージカルのチケット購入所が会場のところ、教会が会場になっているところ、公民館が会場になっているところの3ヵ所を回った。
住んでいる近くの投票所で投票するので、投票所ごとに少し住民の様子が異なる(おそらく投票行動も異なる)が、街中のブロードウェイミュージカルのチケット購入所に設置された投票所では、道にチョークでコメントが書かれたりしていた。さすが民主党の州、NYである。
投票所に入るための列は長かった。みんなソーシャルディスタンスで前の人との距離をあけているからだった。
ちなみに、投票所の掲示物は英語・スペイン語・中国語の3言語で書かれており、民族の構成比が見て取れる。
意外なことに、投開票日当日にもホテルの近くの投票所へ行ったが、そこに列は全くなく閑散としていた。多くの人が期日前投票や郵便投票で済ませた結果だろう(特にバイデン候補の支持者は郵送と期日前を積極的に利用したと言われる)。ちなみにここ公共図書館で、昨年私も訪れたことのある場所だった(ブログ)。
言うまでもないが、ワシントンD.C.でのインタビューもNYと結果は変わらなかった。ワシントンD.C.も民主党の支持者が圧倒的に多い場所だからだ。
そんな2つの州では、選挙の結果が出る前から、トランプ大統領のグッズの値下げが行われていた。
投開票日である11月3日の午前中、ワシントンD.C.のユニオン駅の中の売店はコロナの関係か閉まっていたものの、トランプ大統領のキャップは割引表示があった。ちなみにバイデン候補のグッズは定価のままだ。
まだ開票結果が出る前の11月5日、NYのワシントン大学の生協ではトランプ大統領の関連書籍などが30%オフになっていた。
今回は民主党が強い地域にいたが、次回は共和党の強い地域で大統領選挙を見てみたくなった。結局、今回の大統領選挙は民主党のバイデン候補が勝利したが、共和党の地盤に行けば、また全く別の選挙の様子が見られるに違いない。改めてアメリカの大きさと地域性を感じた選挙だった。
最後に、NY州の投票用紙のサンプルを貼っておく。日本とは全く違うのが興味深い。投票するのに時間がかかるため、投票所に列ができやすいと聞くが、納得だ。