恒例の図書館巡りをここケープタウンでも。残念ながら図書館についてのブログはアクセスが全く伸びないけれど、私にとっては旅の一つの楽しみになっている。旅をしていて思うのだが、同じ機能を持ったものを複数の国で比べるとなかなか面白いのだ。
ケープタウンではCape Town Central Public Libraryへ行った。実は最初にNational Library of South Africa Cape Town Campusに行ったのだが、冬時間で1時間早く閉まっていて、中へ入れなかったのだ。ちょうど図書館で働いている人が出てきているところで、もう今日は閉まったわよ、と告げられた。
Cape Town Central Public LibraryはNational Library of South Africa Cape Town Campusから歩いて割とすぐのところにあった。市庁舎のすぐ隣という好立地だ。入口は雑踏を避けるように大通りから少し入ったところにあった。入口にはもちろん警備員がいる。
入ってびっくり、開放的で気持ちの良い図書館だった。
地下に児童書、地上に大人向けの本が並んでいた。無料の講座も頻繁に行われているらしく、市民生活を支えているようにも見える。
入ってすぐのところにはテーマに沿った本が配架されていた。Fall in…と書かれていたので恋愛小説だろう。棚付近の装飾もかわいかった。
興味深かったのは、入口付近の目立つところに学校の学年別授業のDVDが配架されていたことだ。英語11年生(日本でいう高校2年生)、といった感じでDVDが教科別に並んでいた。
雑誌コーナーには、海外の雑誌もあったが、なぜその雑誌を購入することにしたのかがイマイチよくわからないラインナップだった。台湾の経済雑誌が何冊もあったのにも関わらず日本や中国、韓国の雑誌は一切見当たらなかったのだ。
その後、近くのカウンターにいたお兄さんと雑談をしていた時に教えてもらってわかったことは、この図書館には台湾人の司書さんが勤務しているということだった。だから台湾の経済雑誌が置いてあったのだと思う。公共図書館の私物化はよくないなと思いつつも、司書に購入図書が一任されているのは、司書にとってはとても恵まれているなと感じる。
ちなみに日本語で書かれた本は一冊も確認できなかった。公共図書館であるし、南アフリカ全体で1,505人しか日本人が住んでいない(2017年、外務省HP)ことを考えると当然かもしれない。ちなみに、この9ヶ国語の本は少しずつではあるが配架されていた。
子どものコーナーでとても興味深い本を見つけた。日本人女性のことを説明する本と日本赤軍を題材にした本だった。(ともにアメリカで出版されたもの)
日本人女性を説明する時に平塚らいてうの「元始、女性は太陽であった(In the beginning, woman was the sun)」という一節を紹介していたりして興味深い。
南アフリカでは公用語が11種類あるが、子どもの絵本も現地語で書かれたものがあった。
色いろな掲示物が黒人がメインで白人の絵が多少入っているというレベルだったので、ここ南アフリカでは黒人がマジョリティであることを思い出した。
時間がなく大人のセクションは見学することができなかったが、とても楽しい図書館訪問だった。
でも少し残念に思ったのは、教育にとても良いものがそろっているのに図書館利用者がそれほどいなかったことである。あまり本を読むという文化が根付いていないのかもしれない。
ちなみに、街中には綺麗で開放的な本屋がある。
本屋にはカフェが併設されており、珈琲を楽しみながら本の吟味ができるようになっていた。
立地のせいもあるのだろうが、利用者のほとんどは白人だった。やはり格差を感じずにはいられず、少し寂しい気持ちになった。
私はどこの国に行っても図書館と本屋が好きだなと思いながら、普段はあまり見ないような本を眺めつつ、本とともにのんびりしたのであった。