この間の一時帰国の時に、「最近外国人が増えた」という声をよく聞いた。確かに道を歩いていても外国人が歩いているのを目にしたので増えたのかもしれない。しかし依然として日本人の方が圧倒的に多く、移民都市トロントに住んでいる私は、この程度で増えていると言って良いのだろうか、などと思った。私の友人の何人かは外国人が増えたことを、公共の場で大きな声で話していてマナーが悪いなどとネガティブにとらえている人もいる一方で、日本人がやりたがらない仕事をしてくれていて助かる、とポジティブにとらえている人もいるようだった。
そこでどれほど在日外国人がいるのかと総務省のHPを調べると、
平成28年末現在における中長期在留者数は204万3,872人,特別永住者数は33万8,950人で,これらを合わせた在留外国人数は238万2,822人となり,前年末に比べ,15万633人(6.7%)増加し,過去最高となりました。(法務省HP)
とある。ほぼ同じ時期(平成28年10月)の日本人人口は、
日本人人口は1億2502万人で,前年に比べ29万9千人(0.24%)の減少となり,減少幅は6年連続で拡大しています。(総務省HP)
とあるので、外国人率は1.9%ほどだ。外国人は地方よりも都市に住む場合が多いにしても、とても少ないという印象を受ける。ちなみにカナダでは永住権を取得した後に市民権(カナダ人になり、カナダのパスポートを取得)を得る人が多いので、単純に何人とは算出できないが相当数の”外国人”がいる。
2月24日にはアイスホッケーチームの主催でカナダの市民権授与式が行われ、報道されていた。この授与式は39ヵ国186人がカナダの市民権を得たらしいし、もちろんこの会場以外でも授与式は行われている。(2014年の最初の5ヶ月間で10万人がカナダの市民権を取得したという記事も見つけた。)
そして前日2月23日には永住権の道が開ける新しいプログラムがスタートすることが発表された。ケアギバー(家で子どもやお年寄りのお世話をする仕事)の人への特別な永住権取得プログラムだ。ケアギバーが足りないので、外国から募集するということなのだと思う。
日本であれば労働力不足解消のために期間限定の技能実習生として雇用することが多い印象だが、カナダは永住権につながるという大胆なプログラムだ。今回の改正で家族も帯同できるようになるらしく、かなり労働者にやさしいプログラムだと思う。
もちろん賛否はあるようだ。CBCのサイトには批判的な書き込みがずいぶんあるし、移民政策に反対する人は一定数いる。でも外国人の私はこの政府の方針は評価に値すると思っている。
こうやって日常的に友人がカナダで永住権を取得したり、カナダに国籍変更したり、自国の国籍と二重国籍になったりすると、国籍とはいったい何のためにあって、それがどんなことを意味するのだうか、ということを考えずにはいられない。
国籍によって住む場所や移動の自由度は異なるけれど、日常生活においては国籍ではなく個人との付き合いがますます大切になっていくような気がする。特に日本人は「外国人」とひとくくりにしてしまう傾向があるので、そうではなく日本で暮らす一人の人間として向き合って付き合っていったら、色いろな人が生活しやすい日本になるのではと思う。