日本人なのに観たことないの!?と度々驚かれてきたジブリ作品。日本好きの外国人は私よりもはるかにジブリ作品について詳しかった。日本人として少しは知っておいた方がいいのかな、なんて思っていた時に、ネット上に無料で観ることのできるジブリ作品(英語音声、違法?)を見つけ、いくつかの作品を友人と鑑賞していた。
そんな時の一時帰国である。これは三鷹の森美術館に行くしかない、と勝手に思い込み、友人を誘って行ってきた。
三鷹の森美術館は毎月10日に翌月の日時指定チケットが購入できる。今日この記事を書いているのは2月14日だけど、もう3月分は全時間帯で売り切れだった。海外から買うのはなかなか面倒なようだったので、父に1月10日の販売開始時間に電話してもらいチケットを購入した。
三鷹駅から徒歩15分。閑静な住宅街を抜けたところに美術館はあった。
入口ではトトロが迎えてくれた。そこには「ほんものの受付→」と書かれていて和む。ほんものの受付にはちゃんと人間がいてチケットの確認をしてくれた。入場する前から期待が高まる。
この入口を入った後には写真撮影は許されていなかったので残念ながら写真はないが、館内はとてもかわいかった。
館内では、アニメーションの原理、アニメーションを作る過程(キャラ設定をして、台本を書いて、絵を描いて(1秒間に24枚の絵が必要)、などなど)、またこの期間の企画展示として「映画を塗る仕事」展(手仕事で色付けをするにあたって大切なこと、どのように色を決定するのか、など)、ショートフィルムを見学した。もちろんお土産屋さんにはたくさんのジブリグッズ。
1秒間に24枚の絵が必要で、未だにそれを一枚一枚手書きで仕上げているところに感動を覚えつつ、でもこの方法を今後何年続けて行けるのだろうかと少し疑問に思ったり、心配したり。
展示内容はアニメーション素人の私は感動しっぱなしだったが、それと同じくらい気になったのは外国人訪問者の多さだ。私が訪問したのは平日の午後だったけれど、訪問者は日本人より外国人の方が多かった。一番聞こえてきたのは中国語で、韓国語、英語はもちろん他のヨーロッパの言語もよく聞こえた。
そんな訪問者属性にも関わらず、ほとんどの展示は日本語でしか表示されていなかった。企画展示室で英語字幕のついたビデオが流れていたのを見たけれど、ほとんどすべてが日本語のみでの展示。展示は解説がないと理解がほとんどできないものなので、日本語が分からない人たちにはかなり厳しい見学になったに違いない。
ショートフィルムを観る劇場で隣に座っていたヨーロッパ系のカップルが、上映前のちょっとした機械の誤作動の説明を理解できず困惑していて気の毒に思った(すぐに映画が始まったので私も説明してあげられず)。
私は海外の美術館について多くを知っているわけではないけれど、少なくとも私が訪問した海外の数々の美術館は非英語圏であってもすべて英語での解説があった。
この東京の外れに位置する三鷹の森美術館に、せっかくチケットを入手して訪問したのにもかかわらず、展示内容が英語表記でないために理解できないなんて悲しすぎるし、日本がまだまだ国際化されていないのだと、国外に発信しているのと同じことのように感じられた。それは日本人としてとても悲しかったし衝撃的だった。
この美術館の正式名称は三鷹市立アニメーション美術館で、三鷹市の美術館である。入場料は大人1,000円とリーズナブルなのでなかなか難しいのだろうとは思うが、ジブリファンを日本のファンにできるチャンスを有効活用してもらいたいと願う。