私の職場は女の園である。同僚も上司も女性だ。心おきなく仕事に集中できる、と思っていたのは私くらいだったらしく、どうもそうではない人が職場にいたことがわかった。以前書いた通り、私の会社はシェアオフィスに入居しているので、同僚はそれを上手く活用しているらしかった。
この間、ランチからオフィスに戻ろうとした時、隣のオフィスの長身イケメンに対してくねくねとしながらセクシーな声で話している彼女を見て、驚きすぎて5秒くらい硬直した。
驚いたのは彼女のセクシー度合いがものすごかったというのもあるけれど(私は生まれ変わってもあんなことはできない自信がある)、そもそも彼女に子どもがいることを知っていたからだ。なんだか見てはいけないものを見た気がして誰にも言うことができなかったけれど、後日、彼女がシングルマザーだと知って、少しほっとしたのだった。
アラフォーの母親であっても若くていいオトコがいれば積極的に狩りに出る、という感じだろうか。彼女の振る舞いは「狩りに出る」という言葉がぴったりだった。情熱的なラテンの血が流れているからかもしれない。日本人の私には絶対にできない技に見えた。
カナダでは離婚することがそれほど珍しくないし、実の両親ではなく継母や父に育てられる子どもも少なくない。同性婚もできるので、お母さんが2人とかお父さんが2人いる、なんて子どももいるらしい。
カナダ在住1年で保守的な国から旦那さんの仕事の関係で来た別の同僚が、「お母さんの結婚式はいつなの?」と子どもに質問されてびっくりした、と言っていた。なんでも娘さんのクラスメイトのお母さんが結婚式を挙げるので、クラスメイトが学校を休むことを娘さんが知り、自分もお母さんの結婚式に出たいと思ったらしい。なんて無邪気な娘さん。
そのクラスメイトの子のお母さんは事実婚だったのか、単に結婚式を挙げていなかったのか、それとも離婚して別の人と結婚することにしたのか、その事情はわからないけれど、私の同僚は娘さんの口からそんなことを言われるなんて、と少しショックを受けていたようだった。保守的な人がカナダの文化を受け入れるのには少し時間がかかるのかもしれない。
カナダでは事実婚も同性婚もできるし離婚することも珍しくないし、養子をもらうこともあるから、色いろな家族の形がある。
どんな家族の形を望むのかは人それぞれだけど、色いろな選択肢があり、自分で選択できることは良いことだと思う。
そうでない文化圏から来る人たちは最初のうちは多少びっくりするかもしれないけれど。