現在、米国大統領選でトランプ大統領と戦っているバイデン大統領候補からメールが毎日のように届く。1日に2回届くこともある。たまにオバマ前大統領から届くこともある。他の民主党員から届くこともある。
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送信元はバラク・オバマとなっている。そんなことはあるはずがないのに。
ただし、すべて同じアドレスからだ。同じアドレスなのにどうやって差出人の名前を変えるのかはわからないが、とにかく、私は同じアドレスを使った複数の人からメールを受け取っている。最初はなんだか怪しいと思ったが、送信元メールアドレスを調べたら本当に民主党からのメールだった。
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全部同じアドレスから送られてきたメールである。毎日毎日届く。
内容は、基本的に送信元が誰であっても同じだ。献金のお願い、である。たまにグッズ販売のお知らせもある。
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メールに貼ってあった画像。ちゃんと私の名前が入っている。ちなみにこのキャップは35ドルだ。
ではなぜ民主党が日本人である私のメールアドレスを知っているのか。それは前回2016年大統領選挙中の演説会の参加申し込みをする際に、メールアドレスを入力したからだ。
それは2016年11月7日にアナーバーにあるミシガン大学で行われたもので、オバマ大統領(当時)がヒラリー・クリントン大統領候補の応援演説をするというものだった(当日のニュース(YouTube))。
てっきりアメリカ国民しか参加できないと思っていたので、参加登録のWEBフォームに国籍入力欄がなかったことに驚いたことを覚えている。そして私はアメリカ人に混ざって演説を聞いた。
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機材と柱の間に小さく小さく写るのがオバマ大統領(当時)である。
だが、献金となると話は別だ。熱心に私にメールを送ってくれても、外国人である私は献金をすることが許されていない。
でもここまで何度も献金の依頼メールが来るのは、通常であればそれだけ個人献金が見込めるからである。日本では個人が選挙の立候補者や政党に献金する、ということはあまり一般的ではないように思うが、アメリカでは決してそうではない。
Pew Research Centerのレポートによると、前回大統領選が行われた2016年の献金に関する調査では、過去1年間に立候補者に献金をしたアメリカ人は12%、政党へ献金した人は9%、その他外部グループに献金した人は5%となっていて、決して低い数字ではない。
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Pew Research Center: 5 facts about U.S. political donations
また、選挙期間に政治活動に関わったアメリカ人がより献金を行う可能性が高いという統計も出ている。おそらくこれが理由となって私に献金依頼のメールが来ているのだろう。政治に関心がなければそもそも2016年に演説を聞きに行ったりしないはずで、そこにいた私は政治に関心があり、献金を見込めると思われているのだと思う。ただ、残念なことに私は日本人なので献金の権利はないのだが。
さらに、レポートには献金の55%が100ドル未満、32%が100~250ドル、13%が250ドル以上だと書かれている。つまり多くの人が少額献金しているということだ。だからだろう、私に送られてくるメールにはこのようなボタンがついていて、献金をする側は金額を選ぶだけでPaypalを使って簡単に寄付することができるようになっていた。
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私が受信する献金を促すメールに貼られている選択肢のボタンは2種類ある。10ドルから始まり250ドルまでの選択肢のあるもの、7ドルから始まり100ドルまでの選択肢のあるものである。
ちなみに、献金しようと進んでいくと個人情報を入れる部分がある。住所をアメリカ国外を選択するとアメリカのパスポート番号を入力しなくてはいけない仕組みになっているので、アメリカに住所がなく日本人の私は寄付できないようになっている。
2016年の大統領選でヒラリー・クリントンは768,500,000ドル(約811億8049万7500円)、トランプは440,000,000ドル(約464億7940万円)使ったとされている。かなりお金がかかる大統領選は個人献金が重要な資金源の一つであることは間違いないと思う。
アメリカ大統領選、日本人である私には投票権もなく献金する権利もなく、何もできないが、前回に引き続き今回もその様子を興味深く見守り、結果を楽しみに待っている。