本人確認の定番と言えば、名前、生年月日、住所、電話番号、とまぁそんなところだと思っていた。だって日本で本人確認される時は大抵そんなようなことを聞かれるからだ。
実は私は友人に私を装って電話を架けてもらったことがある。それは私がマレーシアに住んでいた時のことだった。長く待たされることが想定される銀行への国際電話は避けたかったのである。友人は私が教えた個人情報を基に私が銀行で確認したかったことを私の代わりに確認してくれた。友人は緊張した、なんて言っていたけれど、それは成功したのだった。
先日、私のキャッシュカード兼デビットカードが突然使えなくなった。カナダのコールセンターはオペレーターに繋がるまでずいぶん待たされるだろうと思ったので、電話し放題プランではない私は銀行の窓口に立ち寄って解決を試みた。しかしそこでは解決せず、コールセンターに電話しろという。教えられた番号に架ける。待つこと15分。やっとオペレーターと繋がった。途中で何度切ろうと思ったことか。でもお金が使えないことには生活できないので辛抱強く待った。
カード番号と名前を言った後に本人確認が始まった。というか本人確認だと気が付かなかったのだが、今思えば本人確認だった。この口座の使用目的、給料の振込元、給料の額、最近のキャッシュ・デビットカードの使用履歴について、などなどこれは私でなければわかるまい、と思われる質問を複数聞かれた。
やっと本人確認が終わって言われたのは、「不正に使用されようとした形跡があったので停止しました」だそうだ。なんだかこれは最近同じようなことがあったな、となんだか恐くなったのだけど、なんてことはない、それは私の履歴だった。数日前に13,094キロ離れた場所に振込をしなくてはいけない用事があり、システムに入力したのだが失敗していたのだった。システムとの相性が悪かったのかな、なんて思ってその時は日本のクレジットカードで再度決済をした。日本のクレジットカードは基本的に弾かれないのでとても便利だ。カナダはデビットカードということもあってか振込が正常に行われないこともしばしばあり、困ることがある。
オペレーターはカードが停まっている間にいくつかの支払いが正常に行われなかったと教えてくれた。定期引き落としの携帯代などである。普通に困る。慌てて携帯代を振り込む。
オペレーターに数ヵ月以内にまた同じ国での支払いが発生する予定だけどどうしたらいいの?と聞くと、カードが止まったら電話して!24時間やってるから!現地からの国際電話でも大丈夫!と電話番号を教えられた。いやいや問題はそこじゃないだろうと思いつつ、カナダ国外に出る時にはやっぱり日本のクレジットカードを使おうと心に決めたのだった。