日本語を学ぶワケ

日本語を学んでいるけど、ぼくはオタクじゃないよ、と複数の人から何度か聞いた。トロントで日本語を学んでいるとアニメなどが好きなオタクだというイメージを持たれるらしい。恐らくこれはトロントに限ったことではなく、全世界に言えることのように思う。そして実際にアニメが理由で日本語を学んでいる人も多いのだと思う。でもそうでない人も結構いる。

昨日でトロント大学の日本語クラスの授業が終わった。私は前回同様、TA(ティーチングアシスタント)として受講生のサポートをしていたけれど、来週からこのクラスはないのだ、と思うと少し寂しい。一生懸命に日本語を学ぶ受講生は愛おしく感じるものなのだ。

このコースはトロント大学付属のコンティニュースタディーズに属しているだけあって?他の日本語の語学学校に比べて授業料は高いが、一定のレベルを卒業すると終了証がもらえるので、結構みんな真面目に勉強しているような気がする。(他の学校を良く知っているわけではないけれど)

これまでTAをした2タームを振り返ってみると色いろな受講生がいた。

  • 剣道3段の剣士(稽古後に授業に来た時には少し防具臭がしていた)
  • 空手の選手(はい!という気合いの入ったすばらしい返事がいつも返ってきた)
  • 日本人の親戚がいる人(従妹と日本語で話をしたいらしい)
  • 日系カナダ人の奥さんや彼女がいる人(なんて優しいパートナー!)
  • 日系人(自分のルーツについて学びたかったらしい)
  • 日本で働きたい人(本当に受講後に日本に行ってしまった)
  • 日本に旅行に行く予定の人
  • 日本と関わりのある仕事をしている人

受講する理由も目標とする日本語レベルも様ざまだけど、みんな週に一度一緒に勉強する。決してアニメが好きなオタクだけではないのだ。

正直に言うと、日本語を話せるようになったからといって多くの職業ではキャリアに影響を与えることはないだろうし、なぜわざわざお金を出して時間を使って日本語を学ぶのだろうか、と疑問に思っていたのだけど、受講生の個人的な理由を知って私の言語学習の見方が変わった。

日本で大人で英語を学んでいる人は、ほぼ間違いなくキャリアアップのためだと思う。義務的に学んでいる人もいる。だから楽しめないしなかなか上達しないのだと思う。一方で、カナダは言語学習が日本に比べて身近だ。それは移民国家だということもあるだろう。多くの人は2ヶ国語以上話せる。私のカナダ生まれの友人は「私は英語しか話せないから…」と自嘲気味に話をしてくれたことさえあった。それほど複数の言語を操る人が多いし、英語が第二言語という人も多い。身近に外国語があるので自然と学んでみようという気持ちになりやすいし、学び始めたら母国語の友人に気軽に質問できるメリットもある。

誰かに強制されることもないので、楽しく学ぶことができる。コースに入って勉強したとしても、宿題やプレゼンの準備が大変だ大変だなどと言いながらも、なんだかんだ受講生は楽しそうにしている。

ひらがなの発音や書き順からスタートしたレベル1の私のクラスの受講生の日本語レベルはまだまだビギナーだけれど、程度の差こそあれ、みんな楽しく日本語を学び続けてくれるような気がするし、そうであってくれたらいいなと思っている。

次のタームは1月から。次はどんな受講生に会えるだろうか。

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