Texasに行くんだ、と友人に言ったら、Texasではたくさんのカウボーイに会えるよ、と言われた。いやいや今の時代にカウボーイなんているはずがないだろうと思い、友人は私をからかっているのだと思った。まさか、本当にカウボーイに会えることも知らずに。
異変を感じたのは初日だった。雨宿りのために入ったSan Antonioのショッピングモールで多くのカウボーイハットとカウボーイブーツを見つけた。というかそこはまさしくカウボーイファッションの専門店だった。カウボーイブーツは以前日本でも流行っていたので特に違和感はなかったけれど、カウボーイハットとは何かのギャグだと思った。でも何の違和感もなくディスプレイされていた。少し焦った。
カウボーイブーツはかなり可愛く、値段も手頃である。日本で流行していた時にこのお店に来ていたら私は間違いなく買っていただろうと思う。私は買いたい気持ちをぐっと抑えた。
その後、街を歩いているとカウボーイブーツを履いている人がいた。お洒落なおばさまといった出で立ちの彼女はカウボーイブーツを見事に履きこなしていた。
Austinの街では警察官や、州庁舎ではセキュリティーチェックの人がカウボーイハットを何の違和感もなくかぶっていてびっくり。むしろ似合っていた。
そもそもTexasは、原住民が住んでいたところがスペイン領になり、その後独立してメキシコとなったが、Texasがメキシコから独立しRepublic of Texasになり、そこからアメリカに併合されたという歴史がある。だから独自の文化が発達したらしかった。
だから他の州ではよく星条旗(アメリカの国旗)が掲げられている印象が強いけれど、Texasでは州旗が掲げられているのを良く見かけた。
San Antonioにあるメキシコのものが売っているショッピングセンターHistoric Market Squareではメキシコの国旗が堂々と掲げられていた。このようにアメリカにいながらにしてメキシコを感じることができる不思議な場所もあった。
長距離バス乗り場でバスを待っている時には、スペイン語、英語の順番でアナウンスが流れるのでスペイン語が日常にあることを実感するし、レストランに入れば本格的なメキシコ料理が食べられる。どれも絶品である。
Downtown HoustonにあるHermann Parkでは、いくつかの小学校がクラス単位で来ていたけれど、ヨーロッパ系の生徒はおらず、ほとんどがラテン系、そして少しのアフリカ系で構成されていた。アメリカというとヨーロッパ系を思い浮かべる人も多いかもしれないけれど、ここTexasにはそんな“アメリカ人”は想像以上に少ない。
今回私は初めてアメリカ南部を訪れたけれど、広大な国土を持つアメリカは、場所によってずいぶん民族構成比や文化が違うと感じることができた。さすが、移民国家のアメリカである。ほぼ単一民族の日本とは全く違う世界、そして国の形がアメリカにあった。