モントリオールに来て一番驚いたのは、道を歩いている人たちの民族構成比だった。Chinese people are everywhere と言われるトロントとは対照的に、中国人や中国系らしき人が全然見当たらない。というか中国系に限らずアジア人がいない。トロントには大きなチャイナタウンが2つもあるけれど、モントリオールには小さなものが1つだけ。チャイナタウンなのに、ベトナム料理屋さんや日本料理屋さんもあるので、小さなエリアに中国料理以外のものがあるのも面白い。
新しいデータが見つからなかったので2011年と少し古いのだけど、民族構成比を調べてみた。移民は年々増加しているので、今はこの時より移民の割合は増えていると思う。
トロントはこのようなことに対して
The most common ancestry groups were: English (12.9%), Chinese (12.0%), Canadian (11.3%), Irish (9.7%), Scottish (9.5%), East Indian (7.6%), Italian (6.9%), Filipino (5.5%), German (4.6%), French (4.5%), and Polish (3.8%). Other common groups include Portuguese, Jamaican, Jewish, Ukranian and Russian.
モントリオールはこのようになっている。
The largest ethnic groups are those of European origin. The largest European ancestries in Montreal include French (26%), Italian (7%), Irish (6%), English (4%), Scottish (3%) and Spanish (2%).
About 31% of the Montreal population belong to a visible minority, up dramatically from just 5% in 1981. The most common visible minorities are black (9.1%), Arab (6.4%), Latin Americans (4.2%), South Asians (3.3%) and Chinese (2.9%).
いずれも、「アジア」や「東アジア」ではなく「中国」として表示されているところから、中国勢力が強いことをうかがい知ることができるけれど、なんとモントリオールには2.9%しか中国系がいないらしい。どうりで見かけないわけだ。
これは間違いなくフランス語圏であることが影響していると思う。そもそも多くの中国人は移民目的でカナダに引っ越してくるが、その多くは英語圏に移り住む。フランス語さえある程度わかればフランス語圏(ケベック州)の方が移民条件が緩いのにも関わらず。
そのエリアで何語が話されているのか、というのは民族の人口構成比にこんなにも影響を与えるのかと思うと興味深い。それでも私のベトナム人と中国人の友人は移民がしやすいと聞きつけ、トロントからモントリオールに引っ越した。彼女たちはカナダに来る前からフランス語を勉強していて、永住権への思いがかなり強かった。きっと近い将来、永住権を取得してカナダに移民するのだと思う。
ちなみに、カナダの中で一番中国人・中国系が多いのはバンクーバーである。これは西海岸で東海岸より中国本土に近いことと、移民の歴史が影響しているのだと思う。ふざけてバンクーバーをホンクーバー(香港×バンクーバー)と呼ぶ人もいる。
The 2011 Census found the racial and ethnic makeup of Vancouver was:
European Canadian: 46.2%
Chinese: 27.7%
South Asian: 6%
Filipino: 6%
Southeast Asian: 3%
Japanese: 1.7%
Latin American: 1.6%
Mixed visible minority: 1.5%
Korean: 1.5%
Aboriginal: 2% (1.3% First Nations, 0.6% Metis)
West Asian: 1.2%
Black: 1%
Arab: 0.5%
カナダに住んでいる、と一言でいっても全然違う環境なのだ、ということを実感するし、でもだからこそカナダは面白いのだ、と思う。でもその中でも民族構成比の偏りは他の地域に比べて少なく、様ざまな民族が構成されているトロントは、アジア人で日本人の私にとって、とても住みやすい場所だと思う。他の地域に行くと私はやっぱりトロントが好きなのだということを実感するし、トロントに帰ってきて、なんだか落ち着く今日この頃である。