ノンアルコールでお花見を

桜が咲くと春だな、と思う私はやはり日本人なのだと思う。トロントの桜は5月の初旬から中旬に咲く。噂によると天候によって咲かない年もあるらしい。トロントの桜は気まぐれなのだ。

英語で桜はcherry blossomだが、sakuraと言っても大抵通じる。

桜の時期が近づくと、トロントのエンタメ系情報WEBサイトではいつ頃に桜が咲くのか予想し始める。そして一気に桜への関心が高まっていく。

トロントの有名な桜スポットといえばHigh Park、University of Toronto、Trinity Bellwoods Park。私がはじめに行ったのはHigh Park。3つの中で一番有名なだけあって咲き始めの早い時期にも関わらずたくさんの人がいた。最寄りの地下鉄High Park駅にはすでに案内板を持った人が。 

公園の中には桜の気には登ってはいけないという注意の案内板もある。私は見なかったけど、結構登ってしまう人がいるのだと聞く。

公園には多くの日本人の姿があった。間違いなく3つの中で一番日本人率が高い。ちらほら日本語が聞こえ、日本の花見を思い出す。公園内には大きな観光バスも止まっていて、遠くから団体で来る人もいたようだった。花見文化がトロントでも根付いていることがわかる。

次に行ったのはUniversity of Toronto。ここは大学内に咲いている桜を楽しむ程度のもので、お花見という雰囲気はない。でもここの八重桜はUofTの建物とマッチしていてとても美しかった。通行人は足を止めて熱心に写真を撮っていた。

最後はTrinity Bellwoods Park。少しタイミングが遅くなってしまって葉桜気味だったけど、とても綺麗に咲いていた。お天気だったので、ピクニックを楽しむ人もたくさん。整備された都会の公園の中に咲く桜といった雰囲気で、みんなくつろいでいた。

トロントのランドマークCNタワーと一緒に

きちんと整備されていて、お花もたくさん植えられていた

さて、日本とトロントの花見の違いは、やはりそのスタイルにあると思う。日本は屋外での飲酒が認められているけれど、カナダは認められていない。ピクニックをしている人たちはノンアルコールなのだ。一部の人はペットボトルや水筒にお酒を入れてこっそり飲んでいるらしいが、それは法律違反。だからお酒を飲んで酔って騒いでいる人はいない。でもその代わりに、トロントはマリファナが簡単に手が入る上に、もうすぐ嗜好品としても合法になることもあって、公園ではマリファナの匂いがしていたりする(マリファナを公の場吸うことは違法ではあるが)。犬を連れてきている人、ハンモックでのんびりしている人、音楽を演奏している人、フリスビーをしている人、色いろな人がいる。人がたくさんいるとは言っても日本の花見に比べれば全然少ないので、事前の場所取りの必要もない。シートを敷いて長居する人もいるけれど、少しそのへんに座って桜を楽しんで割とすぐに帰っていく人も多い。

トロントで3回目の春にして初めて桜を見て、日本の春を懐かしく思う。そして地球の裏側のトロントでも花見文化があることが日本人として少し嬉しい。

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