1918年のサイレント映画と即興演奏

1918年に作られたサイレント映画「The Blue Bird」が一度だけ映画館で上映された。制作は99年前。約1世紀も前に作られた映画だ。100年以上もの間、変化をしながら生き残った娯楽である映画の原点がみられるのではないかとわくわくしながら観に行った。

The Blue Birdは日本でも「青い鳥」として知られる文学作品(幼い兄弟が病気の隣人を助けるために幸せをもたらす青い鳥を探す旅に出るというもの)なので、物語を知っている私は安心して観賞できた。

 

今回のサイレント映画は、スクリーンの横でピアニストで音楽家のJordan Klapmanが映像に合わせてピアノで音楽を付けるという形で上映された。最初、この説明を聞いた時、それがどのようなことなのかがいまいち理解ができなかったのだけど、彼は一切の楽譜を持たず、スクリーンをちらちら横目で見ながら、場面場面に合わせてピアノを弾いていた。

そんなに複雑なピアノ演奏ではないものの、ピアノの音色は映画の場面を適切に捉えていて、何の違和感もなく映画に溶け込み、時に映画をリードしていた。75分の上映中、ずっと映画の場面を読み説きながら演奏し続けた彼。技術力も集中力も、私にとっては信じられない衝撃的なものだった。

色いろ気になったので、上映後に話しかけてみた。何で場面に合わせた音楽を即興で弾けるのか、という質問に対して、彼は俳優さんや女優さんと一緒に仕事することも多いので、仕草で感情を読み解くことができるんだ、と答えた。

 

世の中には、私の知らないすごいことができる人や、知らない世界がまだまだあるのだと改めて感じるし、そんなことをこれからも探し求めて行きたいと思うのだった。

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