8月31日、今日はマレーシアの「Merdeka Day」という独立記念日だった(Merdekaとはマレー語で独立という意味)。マレーシアを離れてもうすぐ2年が経つが、一度お世話になった国のことはいまだに気になる。
マレーシアは1957年にイギリスから独立したので2017年の今年は60周年。日付が変わると大々的に花火が打ち上げられ、当日は大々的に軍事パレードのようなものが行われる。軍事パレードを見る人たちはマレーシアの国旗柄の洋服を着たり、旗を振ったり、マレーシアの独立を誇らしげに祝う。
今私の住むカナダはイギリスから1867年7月1日に自治が認められて(独立は1931年)、今年は150周年だった。イギリスがいかに長い間世界で力を持っていたかが良くわかる。ちなみにカナダは「Canada Day」という名前で自治のことには触れられていない。当日のイベントも花火が上がり、広場には屋台が並び、首都のオタワでは記念式典が行われるというもので、そこに近代的な軍事力を見せつけるようなことはない。
では日本はどうだろうと考えると、日本は2月11日に建国記念の日がある。それは紀元前660年1月1日(旧暦)に初代天皇の神武天皇が即位をした日だ。とは言っても神話の中の話。つまり、日本の建国日ははっきりとはないのである。それに紀元前660年にはおそらく国という概念自体が存在しなかっただろうと推測できるので、ますます怪しい。
でもそんな日本は、なんて幸運な国だろうと思う。第二次世界大戦後に一時的にアメリカに占領されてはいるものの、基本的にずっと主権は日本国にある。だから独立記念日が存在しない。
以前、留学生のクラスメイトと母国での英語教育の話をしている中で、日本では日本語が使えれば一般的な職場で困ることはない、という話をしたら、信じられない!と驚かれて、驚かれたことに私も驚いた。彼女の国は元ポルトガルとイギリスの植民地で、現地の言葉はあるものの公用語が英語なので、教育を受けている人であれば基本的に英語は使えるらしかった。
日本人は世界の中でも特に英語が使いこなせない国民だと色々な統計で明らかになっているが、どこの国の植民地にもならず、自国内で経済が完結できる環境下にあったので、ある意味その結果は当然なのかもしれない。もちろん、近い将来人口が減少すれば日本国内だけでは経済が完結しなくなるし、インターネットが発達したボーダーレスな世界では、そんなことはないはずだ。でも追い詰められた日本人はおそらく英語を使いこなせるようになる気がしている。私が追い詰められてカナダで英語を使っているのと同じように。
日本と他の国を比較することで、なぜ現在の日本がこのようになっていったのかがよくわかる。その意味を込めて、日本以外の国の歴史や文化を知ることは、客観的に日本を考える良い機会になると思う。
最近WEB上で、海外に行くことに価値はない、と日本語で書かれた記事を発見してなんだか複雑な気分になった。確かにインターネットを使って英語で検索をすれば、ある程度の情報は収集することができるだろう。だが、縁もなく訪れたこともない国にどれだけの興味を持つことができるだろうか。
私は新聞や雑誌を結構楽しんで読めるタイプだと思う。今まで訪れた26カ国の思い出とニュースを組み合わせて考えることができるし、訪問前後で調べたその国の情報があるからだ。
もうすぐ夏は終わってしまうけれど、休みが取れるのであれば短期間でも海外に行ってその国を感じることを、海外在住の日本人として強くおすすめしたい。
※写真は2015年8月31日のマレーシア独立記念日。今でもたまにマレーシアが恋しくなる。マレーシアはなんだかんだ暮らしやすい良い国だと思う。