日本で別れのシーズンと言えば3月だが、カナダ、特に大学でサマーコースを受講していた人にとっては8月が別れの季節だったりする。
私の場合、カナダでの親しい友人たちはまだ全員カナダにいるので、まだカナダでの別れを経験していないのだが、カナダで一番仲の良い友人の彼氏が今朝の飛行機で帰国したことで、なんだか私までセンチメンタルな気分になっている。
彼女と私が毎日連絡を取り合うようになってからほぼ1年が経つが、今まで一度も彼女が泣いたところを見たことがなかった。そんな彼女が1ヶ月前くらいから頻繁に泣いていた。
彼女はひどく後悔をしていた。もっと彼氏とともに時間を過ごせば良かったと。留学生は何かと忙しい。勉強しないと授業に取り残されるし、自分で料理をしなければごはんもない、バイトをして生活費の足しにしなければいけない。そんな留学生どうしのカップルに一緒に過ごせる時間は少なかった。
地球の裏側に帰った彼とトロントに残る彼女はもう頻繁に会うことはできないし、関係は解消するのだという。
私は何と声を掛けたら良いのかわからず、彼より良い人が見つかるよ、と月並みな慰め方しかできなかった。
彼女を見ていて思うのは、日々後悔のないように人と接することだなと思う。いつまでもその人がそばにいるとは限らない。今回のように前から決まっていた帰国ではなく、いきなり目の前からいなくなることもあるかもしれない。そう考えると、私は大切な友人である彼女の側に引き続きいて彼女を勇気づけたいと思うのだった。私たちだって一緒にいられる時間は限られているのだ。
私にとっての8月の別れはハウスメイトである。彼女は明日、今の家を出て他の家に引っ越しをする。だがそんな別れを私は嬉しく思っている。これでこれからは冷蔵庫と冷凍庫に入れてある私の食品を彼女に勝手に食べられなくて済むからだ。別れは時としてホッとする、平穏をもたらす嬉しいことだったりもする。
別れが訪れた時に、別れを喜んでもらうのではなく、悲しんでくれるような、そんな人間でありたいと思う。